従来の有効化型欧州特許と単一効力特許との間で欧州特許庁における異議の申立率に差があるか調べてみました。
I. 方法
ツール
母集団
UPC協定発効後の2023年6月および7月に登録になった欧州特許(現時点で異議申立期間が満了している欧州特許)
II. 結果
(1)2023年6月および7月に登録になった欧州特許の件数:21124件
(2)そのうち単一効力特許の件数:6706件
(3)2023年6月および7月に登録になった欧州特許に対する異議件数:475件
(4)そのうち単一効力特許に対する異議件数:200件
異議率
III. 考察
上記グラフからも明らかなように単一効力特許に対する異議率(Opposition rate of UP: 2.98%)のほうが平均異議率(Average opposition rate: 2.25%)よりも高いという結果になりました。
ただし異議率というのは技術分野によっても異なり、単一効特許の申請率も技術分野によって異なります。したがってこの異議率の差は技術分野の差に起因している可能性も否定できないため、このデータだけでは異議率の差が純粋に単一効特許であるか否かの差と結論付けることはできません。
ただ、一般的に単一効特許の方が従来の欧州特許よりも地理的効力範囲が広く他者のビジネスを阻害する可能性が高いことから、単一効特許に対する異議率の方が平均よりも高くなることには納得できます。
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