PCT出願のドイツ国内移行を依頼する際に必要な書面・情報

日本からPCT出願のドイツ国内移行の依頼をドイツ代理人にする際には以下の書面および情報が必要になります。

・PCT出願書面の英訳または独訳(PCT22条)
PCTルートの場合は移行期限(優先日から30ヶ月)までにドイツ語書面を準備しなければなりません。つまりパリルートのようにいったん日本語で出願しておいてその後ドイツ語訳文を後出しするということはできません。現地代理人にドイツ語訳を依頼する場合は、遅くとも移行期限の1月前に英文明細書を送付することが好ましいです。

・出願人の名称および住所、発明者の氏名および住所に関する情報
発明者の住所は社内であっても問題ありません。発明者が従業員でない場合は、特許を受ける権利が出願人に譲渡された日付の情報が必要になります。

・審査請求の要否
ドイツではPCT出願から7年の審査請求期間があるため(ドイツ特許法第44条)、審査請求の要否は移行依頼時に必須の情報ではありませんが、審査請求の要否を明示していないとドイツ代理人から問い合わせが来ます。このため移行依頼書に「移行と同時に審査請求をする旨」or「移行時に審査請求をしなくてよい旨」を明示しておくことが好ましいです。

・早期移行(Early Processing)の要否
ドイツでも移行期限終了前に出願の処理を開始することは原則禁止されています(PCT23条)。早期移行をしたい場合は、その旨を代理人に明示することが好ましいです。

・PCT19条補正の際に提出した補正書および簡単な説明書の英訳または独訳
PCT19条補正をした場合は、PCT19条補正の際に提出した補正書および説明書のドイツ語訳の提出が常に求められます(「PCT出願人の手引-国内段階-国内編-DE」参照)。

・PCT34条補正の際に提出した補正書の英訳または独訳
PCT34条補正をした場合は、PCT34条補正の際に提出した補正書(国際予備審査報告の付属書類)のドイツ語訳の提出が常に求められます(「PCT出願人の手引-国内段階-国内編-DE」参照)。

・自発補正の英訳または独訳
ドイツでは移行と同時に補正ができますので(ドイツ特許法38条)、自発補正をしたい場合はその旨を依頼書に明示しておくべきです。

・どのクレームを審査の対象すべきかの明示
例えばPCT19条補正後のクレームとPCT34条補正後のクレームとが存在する場合は、どのクレームを審査の対象とすべきかを依頼書に明示しておくべきです。

・委任状は不要です

 

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