EPOはどんな場合にいきなり口頭審理の召喚状を発行するか?

欧州特許庁における審査では書面審査で特許査定を出せないと判断された場合は、口頭審理の召喚状が発行され、口頭審理において出願人に口頭で特許性を主張する機会が与えられます(EPC116条)。

この口頭審理の召喚状、通常は審査過程において何度かOAのやり取りがあったにもかかわらず、それでも特許可能性を見いだせないと審査部が判断した際に発行されます。

一方で、2018年のガイドラインの改正により、審査部は所定の要件の下、第1OAとして口頭審理の召喚状を発行することができるようになりました。つまり欧州特許庁はEESRに対する対応後にいきなり口頭審理の召喚状を発行できるようになりました。

より具体的には審査部は出願が以下の3つの要件を満たす場合、第1OAとして口頭審理の召喚状を発行することができます(ガイドライン C-III, 5)。

(1)EESRに対する出願人の回答を考慮しても特許査定の見込みが無いこと

(2)審査対象のクレームが調査対象のクレームと実質的に変わらないこと

(3)EESRで指摘された重要な拒絶理由が解消されていないこと

ここで気になるのが実際の運用ではどれぐらいの頻度で第1OAとして口頭審理の召喚状が発行されるかということです。

私自身はこれまで第1OAとして口頭審理の召喚状が発行されたケースを経験したことがありませんし、周りでこのケースに遭遇したという話も聞いたことがありません。

そこで気になってEP Bulletin Searchを駆使して調べてみたところ、第1OAとして口頭審理の召喚状が発行された欧州特許出願EP3452931を1件のみ見つけることができました。

このように第1OAとして口頭審理の召喚状が発行されたケースに遭遇したという話をほとんど聞かないこと、そして一定の時間をかけて調査しても1件しかみつからなかったことを鑑みると実際の運用上は第1OAとして口頭審理の召喚状が発行されるケースはほとんど無いと言えます。

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