ルクセンブルクで出願すれば欧州特許庁による調査報告が450ユーロで得られます

欧州特許庁の調査は国際的に評価が高いです。例えば欧州特許庁の調査結果が肯定的な場合は、欧州特許庁の調査結果を積極的に活用しているメキシコ、インドネシアなどの国では権利化がかなり楽になります。

一方で欧州特許庁の調査費用は高額なことでも有名です。例えば日本特許庁による国際調査費用は70000円ですが欧州特許庁による国際調査費用は209000円と日本特許庁の3倍です1)

調査費用にそんなに高額な金額は払いたくないけど欧州特許庁の調査報告が欲しいといった場合にはルクセンブルクの国内出願がお勧めです。ルクセンブルグの国内出願をした場合、調査報告は欧州特許庁によって作成されるからです2)

ルクセンブルク国内出願の詳細は以下の通りです。

1.費用

出願料:40ユーロ2)
調査料:450ユーロ2)

2.出願言語

・ドイツ語、英語、フランス語またはルクセンブルグ語2)
・ただし英語で出願がなされた場合は出願から1月以内にクレームのドイツ語訳またはフランス語訳を提出しなければなりません2)
・ただし英語で出願がなされた場合、後述する欧州特許庁による調査は英語の出願書面に基づいてなされます。このためクレームのドイツ語訳またはフランス語訳の品質は調査には影響を及ぼしません3)

3.ルクセンブルグ国内出願の効果

・欧州特許庁によって見解書付きの調査報告が作成されます。
・調査報告は通常出願から6~9月以内に得られます3)
・欧州特許庁が調査報告を作成したルクセンブルグ出願に基づく優先権を主張してPCT出願をし、欧州特許庁を国際調査機関に指定した場合、国際調査費用が25~100%返還されます4)
・欧州特許庁が調査報告を作成したルクセンブルグ出願に基づく優先権を主張して欧州特許出願をした場合、欧州調査費用が17.5~84%返還されます5)

4.まとめ

欧州特許庁は実はルクセンブルグ以外にもベルギー、フランス、オランダなどの国内出願についても調査報告を作成しています5)

しかし英語で出願することができかつ調査報告が450ユーロと安価という好条件の組合せを提供しているのはルクセンブルグだけです。

日本の出願人にとっては英語で出願することがハードルになると思いますが、例えば海外の子会社で発生した発明や、日本国内でも外国人による発明などについては英語で出願書面が作成されるということは珍しくありません。この場合は第一国出願としてルクセンブルグで出願をして、欧州特許庁による調査報告を得てからPCT出願を行えばその後の世界各国での権利化が楽になることが期待できます。

注釈

1)国際出願関係手数料表 
2)how to file a patent in luxembourg an applicant’s guide
3)Luxembourg: a basis for optimizing search fees in Europe  
4)EPO OJ 2017, A95
5)EPO OJ EPO 2019, A4

コメント

タイトルとURLをコピーしました