欧州における拡張国(Extension state)および認証国(Validation state)についてよくある質問に対する回答をまとめてみました。
Q1. Extension/validation systemとは何ですか?
A. 欧州特許出願・特許の効力は現在39カ国のEPC加盟国に及びますが、Extension/validation systemとはEPC非加盟国について、欧州特許出願・特許の効力を当該国に及ぼせる仕組みです。
Q2. Validation stateとExtension stateとは何が違いますか?
A. どちらもEPC非加盟国ですが、協定のタイプが異なります。
Extension state(拡張国)は、EPOと拡張協定(Extension agreement)を結んだ欧州地域の非EPC加盟国です。歴史的に1990年代〜2000年代に締結された枠組みで、現在効力が残る拡張協定はボスニア・ヘルツェゴビナ(BA)のみです。
Validation state(認証国)は、EPOと認証協定(Validation agreement)を結んだ非EPC加盟国(地域は欧州外を含む)です。2010年以降に整備が進み、MA/MD/TN/KH/GE/LAなどで有効です。
Extension agreementおよびValidation agreementはいずれも、欧州特許出願・特許の効力を当該国の国内法に基づいて受け入れる二国間協定ですが、Extension が欧州域内の非EPC国向けの旧来の制度であったことに対し、Validationが2010年以降の新しい枠組みで、欧州外も含む多様な国で導入・拡大することを趣旨としたという歴史的な背景から名称が異なります。
Q3. 現在のValidation stateにはどの国が含まれますか?
A.(2025年9月時点)
モロッコ(MA)/モルドバ(MD)/チュニジア(TN)/カンボジア(KH)/ジョージア(GE)/ラオス(LA)。ラオスは2025年4月1日に発効しました。
Q4. 現在のExtension stateにはどの国が含まれますか?
A. 現在、拡張協定が有効なのはボスニア・ヘルツェゴビナ(BA)のみです。
Q5. Validation state/Extension stateで権利が欲しい場合は別途申請が必要ですか?
A. いいえ。不要です。 ExtentionおよびValidationはいずれも出願時に自動的に請求されたものとみなされます(「みなし請求」)。
Q6. Validation state/Extension stateで権利が欲しい場合は追加手数料が発生しますか?
A. はい。発生します。 各国ごとに以下のExtension手数料/Validation手数料をEPOに納付する必要があります。
Extension手数料
ボスニア・ヘルツェゴビナ(BA):€102(EPOに納付)。
Validation手数料
モロッコ(MA):€240
モルドバ(MD):€200
チュニジア(TN):€180
カンボジア(KH):€180
ジョージア(GE):€200
ラオス(LA):€180
Q7. Validation state/Extension stateの追加手数料の納付期限はいつですか?
A. パリルートの欧州特許出願の場合は、出願公開から6か月以内です。
PCTルートの欧州特許出願の場合は、原則移行時です。