EPOガイドライン G-II, 3.6.2「情報モデリング、プログラミング活動およびプログラミング言語」の和訳

3.6.2 情報モデリング、プログラミング活動およびプログラミング言語

情報モデリングは、技術的性質を欠く知的活動であり、実際のシステムまたはプロセスの形式的な説明を提供するために、通常ソフトウェア開発の最初の段階でシステムアナリストによって実行される。その結果、モデリング言語の仕様、情報モデル化プロセスの構造(例えばテンプレートの使用)、またはモデルの維持は同様に技術的性質を有さない(T354/07)。同様に、再利用可能性、プラットフォーム非依存性、文書化の利便性など、情報モデルに固有の特性は技術的効果とは見なされない(T1171/06)。

情報モデルが意図的に特定の技術的問題を解決する発明の意味で使用される場合、それは発明の技術的性質に寄与し得る(G-II, 3.3.2および3.5.1参照)。

モデルが実際にどのように(例えば関係データベース技術の使用によって)格納されるかを特定する機能も、技術的に寄与し得る。

ソフトウェア開発のプロセスを記述する概念的な方法(メタメソッド)は、通常、技術的性質を有さない。例えば、制御タスクのためのプログラムコードを生成するためのコンピュータの実施方法においてプラットフォーム非依存モデルがプラットフォーム依存モデルに変換され、それに基づいてターゲットプラットフォームに適合されたプログラムコードを得ることを特定する特徴は、制御タスク自体のパフォーマンスが影響を受けない限り、技術的に寄与しない。

コードを書くというプログラミングの活動は、技術的効果の発生に因果的な形で貢献するための具体的なアプリケーションまたは環境の意味で使用されていない限り、知的かつ非技術的な活動である(G3/08、T1539/09)。

例えば、プログラム自体の中でデータ型を定義するのではなく、プログラムへの入力としてファイルからデータ型パラメータを読み取ることは、コードを書く際の単なる選択肢であり、それ自体技術的性質を有さない。プログラムコードのわかりやすさと管理のし易さを向上するためのオブジェクト名の命名規則にも同じことが当てはまる。

プログラミング言語やオブジェクト指向プログラミングなどのプログラミングパラダイムを定義し提供して、その特定の構文やセマンティクスによってプログラマーがより簡単にプログラムを開発できるようになったとしても、それ自体は技術的な問題を解決しない。プログラマーの知的な努力を軽減すること自体は技術的効果ではない。

プログラミング環境に関連する発明を評価する際、そのプログラミング言語に関連する機能は通常技術的性質に寄与しない。例えば、ビジュアルプログラミング環境では、特定のグラフィック構造ブロックの提供はプログラミング言語の一部であり、唯一の効果がプログラマーの知的努力を軽減することであるのなら技術的に寄与しない。特定のプログラミング構成要素の提供は、プログラマがより短いプログラムを書くことを可能にし得るが、結果として生じるプログラムの長さの減少は最終的には人間のプログラマーがプログラミング構成要素をどのように使用するかに依存するので、技術的効果としては認められない。それとは対照的に、減少したメモリサイズの最適化されたコードを生成するために、機械語を命令チェインとオペチェインに分割し、繰り返し命令セットをマクロ命令で置き換えることによって機械語を自動的に処理することは技術的に寄与する。この場合、効果は人間のプログラマーがマクロ命令をどのように利用するかには依存しない。

グラフィックユーザインターフェースに関連するプログラミング環境の特徴、例えば視覚化およびデータ入力メカニズムは、G-II,3.7および3.7.1に示された手法に従い評価されるべきである。

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