請求項に記載された発明の数値範囲が、引用例の数値範囲に含まれ、かつ数値範囲以外の構成に差異がない場合、EPOは通常発明の新規性を否定してきます。
例:
請求項1:物質Xを3~5%含むアルミ合金
引用例:物質Xを1~8%含むアルミ合金
この場合であってもあせって補正をする必要はなく、まず補正なしで拒絶理由を解消しうるか検討すべきです。
EPOのガイドラインによれば、請求項に記載された発明の数値範囲が引用例の数値範囲に含まれる場合であっても以下の3つの要件を満たす場合に、新規性が認められます。
1)発明の数値範囲が、引用例の数値範囲よりも狭いこと
2)発明の数値範囲が、引用例に具体的に開示された実施例の数値および引用例の数値範囲の上限または下限から充分に離れていること
3)発明の数値範囲が、先行技術の任意の範囲でなく、異なる発明であること
1)の条件は単に数値範囲を数学的に比較すればよいので簡単に証明可能です。3)の条件は、一般的に当該数値範囲に先行技術にはない効果があることを示すことができれば、認められます。やっかいなのが2)の条件でして、なにをもって「充分に離れている」とするかについて具体的なガイドラインがなく、審査官の裁量に因るところが大きいです。
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