外国中間の対応は日本代理人と現地代理人とで2重の費用が発生するため高額になりがちです。外国中間費用を抑えるための手段は色々ありますが最も効率的なのが余計な拒絶理由通知(OA)の発生を抑えることだと思います。
そこで今回は私が余計なOAの発生を抑えるために実行している4つの手段を紹介します。
1. 指示内容を検討する
日本からの指示書に従って意見書および補正書を作成する場合であっても、単に指示書通りに意見書および補正書を作成するのではなく、欧州またはドイツの実務の観点から指示内容に問題が無いか検討します。そして指示方針に問題がある場合は必ずクライアントにフィードバックをするようにしています。問題がある指示方針のまま対応をしたのでは余計なOAが発生するリスクが高いからです。
2. 複数の対応案を検討する
私自身が対応案を検討する際には、まず出来る限り広い権利範囲を確保するためのチャレンジングな対応を検討します。しかし出願によっては狭い権利範囲でも良いので早期に権利化したいという要望もあります。このように早期権利化を優先したい場合は、チャレンジングな対応をしたのでは余計なOAが発生するリスクが高いので好ましいとは言えません。
したがって対応案を作成する際は、チャレンジングのな対応案Aの他に早期権利化を意識した対応案Bも出来る限り提案するようにしています。
3. OAに不明点がある場合は審査官に電話する
OAの内容に不明点がある場合、その不明点を放置したまま対応したのではまた新たなOAが発行されるリスクが高いです。そこでOAの内容に不明点がある場合は、審査官に電話をかけOAの不明点を解消した上で対応案を検討しています。運が良ければ電話でOAの不明点について議論している内に審査官から特許可能な補正案の示唆も得られることがあります。
4. 状況に応じて明細書を補正する
欧州およびドイツでは審査官がクレームが許可可能であると判断した場合、新たなOAを発行し明細書をクレームに適合させたり、明細書中に引用文献を記載する補正を求めてきます。
しかし事前に明細書をクレームに適合させ、明細書中に引用文献を記載しておけばこの明細書の補正のみを求めるOAの発生を防止することができます。
したがって審査官が次のOAでクレームを許可可能と判断する確率が高いと判断した際には自発的に明細書も補正し、明細書の補正のみを要求するOAが発生することを防止しています。
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