欧州特許庁の審査部が特許可能と判断してからから異議期間満了までの間に発生する一連のイベントをタイムスケジュールにまとめてみました。
① EPC規則71条(3)の通知
審査部が特許可能と判断した際になされる通知です。より具体的には審査部が「この書面の内容で特許査定を出そうと思うんだけと文句ない?文句無いなら査定料とクレーム翻訳提出してね」ということを出願人に伝える通知で、「特許査定予定通知」や「特許付与予定通知」とも称されます(EPC規則71条(3)の通知って何?という方は過去の記事「EPC規則71(3)の通知は特許査定ではありません」をご参照下さい)。
② EPC規則71条(3)の通知に対する応答
上記EPC規則71条(3)の通知に対する応答です。具体的には査定料を納付し、クレームの仏訳および独訳を提出します。
③ 特許査定
上記、EPC規則71条(3)の通知に対する応答の後、約4週間後に発行されます。これにより審査が正式に終了し出願が審査部の管轄から離れます。このため例えば特許査定後になされた情報提供は審査部に考慮されません(ガイドラインE-VI, 3)。また特許査定後は補正も認められません。
④ 欧州特許公報の公開
特許査定の約4週間後に今度は特許公報が公開されます。これにより欧州特許出願が欧州特許庁の係属を離れ、各EPC加盟国で権利行使が可能になります(EPC64条)。また特許公報の公開後は分割出願をすることができません。
⑤ 特許証の発行
特許公報の公開から約3週間後に特許証が発行されます。特許証の発行は特許査定や欧州特許公報の公開とは異なり手続きにはなんら影響を及ぼしません。
⑥ 有効化期間
一部のEPC加盟国は、権利の維持のために欧州特許公報の公開後原則3カ月の間に公用語への翻訳文の提出や代理人の指定、庁費用の納付の手続きを義務付けてします(EPC65条)。この手続きを有効化(Validation)といいます(有効化って何?という方は過去の論文「欧州特許の有効化手続きとその後の維持年金納付手続き」をご参照下さい)。
⑦ 異議期間
欧州特許公報の公開から9カ月間は何人も欧州特許に対して異議を申し立てることが出来ます。
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