単一効力特許に基づく権利行使がどれぐらい活用に行われているのかを調べてみました。
I. 方法
データ入手方法
– 単一効力特許の件数:
EPO Statistics and trends centreから入手
– 2022年のドイツ、フランス、イギリスにおける存続中特許件数:
WIPO IP Statistics Data Centerから入手
– 単一効力特許に基づく侵害訴訟件数:
UPC Cases search から現在UPCに係属中の侵害訴訟案件のリストを入手し、その中から単一効力特許に基づく侵害訴訟案件をスクリーニングすることで入手
– 2022年のドイツ、フランス、イギリスにおける侵害訴訟件数:
以下のサイトから入手:
ドイツ
フランス
イギリス
権利行使の活発度の指標
存続中特許件数10000件あたりの侵害訴訟件数:
=(侵害訴訟件数/存続中特許件数)×10000
II. 結果
存続中の特許件数 | 侵害訴訟件数 | |
UP | 26449 | 16 |
DE (2022) | 917053 | 822 |
FR (2022) | 718197 | 180 |
UK (2022) | 701292 | 35 |
権利行使の活発度:
III. 考察
上記グラフからも明らかなように存続中特許件数10000件あたりの侵害訴訟件数を権利行使の活発度の指標にした場合、単一効特許の権利行使の活発度は6.05件と既に2022年のフランス(2.51件)およびイギリス(0.50件)を上回り、欧州で最も権利行使が活発といわれるドイツのそれ(8.96件)に迫っています。
一方で、単一効特許の地理的範囲がドイツそしてフランスを含むことを考慮すると、単一効特許の権利行使の活発度はドイツのそれと同等かそれ以上であっても不思議ではありません。しかしながら単一効特許の権利行使の活発度がまだドイツ未満であるということは、まだ権利行使に消極的な権利者が多いことを示唆します。
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