Closest Prior Artの特定では構成の共通性よりも課題の共通性が考慮されます

以前の記事「Problem Solution Approachの3つのステップ」では、Problem Solution Approachにおける最初のステップであるClosest Prior Artの特定では構成の共通性だけでなく課題、目的、効果などの共通性も考慮されることを紹介しました。

それでは構成の共通性と課題、目的、効果などの共通性とのうちどちらがClosest Prior Artの特定の際に優先して考慮されるのでしょうか?

答えは「課題、目的、効果などの共通性が優先して考慮される」です。

欧州特許庁審判部の判例集第10版のChapter I. D. 3.1には以下のように明記されています。

As closest prior art, a “bridgehead” position should be selected, which the skilled person would have realistically taken under the circumstances of the claimed invention. Among these circumstances, aspects such as the designation of the subject-matter of the invention, the formulation of the original problem and the intended use and the effects to be obtained should generally be given more weight than the maximum number of identical technical features (T 870/96; see also T 66/97, T 314/15).

和訳:
最も近い先行技術としては、『橋頭堡』の位置が選ばれるべきであり、それは当業者がクレームされた発明の状況下で現実的に取ったであろう位置である。これらの状況の中では、発明の対象の指定、元々の課題の記載、そして意図された使用および得られるべき効果といった側面が、通常は技術的特徴の一致数の最大数よりも重視されるべきである (T 870/96; T 66/97、T 314/15 も参照)。

このため欧州特許庁では状況次第では共通する構成要件が少ない文献が、課題、目的、効果がより近いとしてClosest Prior Artに選定されることがあります。

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