欧州特許実務

欧州特許実務

出願当初書面から導き出せない効果については実験データの後出しができません

欧州特許庁では発明の技術的効果を示す実験データの後出しが比較的簡単に認められます。しかし実験データの後出しは常に認められるわけではありません。例えば後出し実験データによって立証しようとする効果が明細書に一切開示されていない場合などは、実験デ...
欧州特許実務

Converging alternativesの組合せは新規事項追加となりにくいです

以前の記事「日本の実務家がしがちな欧州での危険な補正の形態4つ」では以下のような2以上の選択肢のリストから開示されていない組合せを選択する補正はSingling Outとして新規事項の追加と判断されるとしました。例1補正前クレーム1:  a...
欧州特許実務

効果は有ると断言しないと実験データの後出しが認められません

効果を立証する実験データが揃っていない状況において特許出願をする場合、「本願発明のXXはYYといった効果を有する」という風に断言することに抵抗を持つ出願人がいます。このような場合「本願発明のXXはYYといった効果を有する可能性がある」等の断...
欧州特許実務

ソフトウエア関連発明で「処理効率の向上」が技術的効果として認められる場合

欧州特許庁におけるソフトウエア関連発明の進歩性の議論では、主文献との差異的特徴に技術的効果があるか否かが進歩性を確立する上で重要になります(過去の記事「ソフトウェア関連発明がEPOで越えなければならない2つのハードル」をご参照ください)。こ...
欧州特許実務

PCT経由の欧州特許出願の審査請求期限はEESRから6月ではありません

PCT経由の欧州特許出願の審査請求期限は、以下のEPC規則159条(1)(f)で定められているようにEPC規則70条(1)で定める規則が既に経過した場合は、欧州移行時となります。Rule 159(1)In respect of an int...
欧州特許実務

EPOで課題が「単なる代替物の提供」であっても進歩性が認められる場合

欧州特許庁では進歩性の議論において客観的技術的課題が単なる代替物の提供と認定されてしまう場合があります(客観的技術的課題って何?という方は過去の記事「Problem Solution Approachの3つのステップ」をご参照ください)。客...
欧州特許実務

欧州の拡張国および認証国についてよくあるQ&A

欧州における拡張国(Extension state)および認証国(Validation state)についてよくある質問に対する回答をまとめてみました。Q1. Extension/validation systemとは何ですか?A. 欧州特...
欧州特許実務

EPOのガイドラインに基づく抗体の特定方法

欧州特許庁のガイドライン(Part G‑II, 6.1)は、抗体発明をクレームでどのように特定すべきかの例を開示しています。以下に欧州特許庁のガイドラインで例示された7つの抗体発明の特定方法を解説します。1) 構造による特定(CDR/可変領...
欧州特許実務

方法クレームで発明限定事項とならない用途限定

過去の記事「用途限定の解釈(欧州特許)」では、欧州では、方法クレームにおける用途限定は、方法におけるステップの1つとして解釈される、つまり発明限定事項として解釈されると説明しました。例えば「亜鉛メッキを溶解する方法」は、亜鉛メッキを溶解する...
欧州特許実務

欧州移行時にはクレームをマルチマルチに直すべきか?

日本では単従属クレーム同士を組合せる補正が新規事項の追加と判断されることはまずありませんが、補正による新規事項の追加に厳しい欧州特許庁ではこのような補正が新規事項の追加と判断されることが多々あります(過去の記事「欧州では単従属クレーム同士を...
欧州特許実務

欧州特許庁における情報提供についてよくあるQ&A

欧州特許庁の情報提供に関してよくある質問とその回答をまとめてみました。Q. 情報提供に庁費用はかかりますか?A.いいえ。欧州特許庁における情報提供の庁費用は無料です。Q. 匿名での情報提供は可能ですか?A.はい。欧州特許庁では完全匿名で情報...
欧州特許実務

UPCでは医薬・バイオテクノロジー関連の発明の進歩性が否定されやすいです

欧州特許庁における進歩性の評価はProblem Solution Approachと呼ばれる手法に基づいて厳密に判断されます(「Problem Solution Approachって何?」という方は過去の記事「Problem Solutio...
欧州特許実務

日本人が知らない、けれども知らないと致命傷を負うパリ優先における「最初の出願」

パリ条約における優先権の要件の1つに「最初の出願」があることをご存じの方は多いかと思います(同第 4 条 C(2)及び(4))。実際に日本の審査基準V部1章2.3.2でも「最初の出願」について以下のように明記されています。「パリ条約による優...
欧州特許実務

UPCはProblem Solution Approachとよりを戻したか?

以前の記事「UPCはProblem Solution Approachを捨てたか?」ではUPCは進歩性判断の際にドイツのアプローチを採用し、欧州特許庁のProblem Solution Approachを採用しない方向に向かっていると説明し...