欧州特許庁にはPPH以外にもPACEとよばれる早期審査プログラムが存在することは有名です。一方でドイツ特許庁でもPPH以外にBeschleunigungsantragと呼ばれる審査促進する手段が地味に存在しています(ドイツ審査基準3.3.2)。以下、ドイツ特許庁における早期審査申請の要件および効果について説明します。
時期的要件:出願が審査に継続中であればいつでも申請することができます。審査請求と同時に申請することもできます。
客体的要件:ドイツ審査基準によると、早期審査が認められるには、審査を促進させなければ申請人が極めて大きな不利益をこうむる恐れがあるという理由が存在することが要件とされています。例えば第三者が既に出願にかかる発明を実施していたり、ライセンス契約中である場合は当該要件を満たします。一方で、早期審査の申請の際には、上述した理由が本当に存在することを証明することまでは求められません。したがって上述したような理由が存在しなくとも、例えばライセンス交渉中であることを装うことで当該要件を満たすことができます。
手続き的要件:上記理由を述べた早期審査を申請する書面を提出します。書面にとくに様式はありません。
費用:庁費用はかかりません。
効果:早期審査の申請が認められると申請から概ね3ヶ月以内にオフィスアクションが得られます。一方、オフィスアクションを得た後にもさらに早期審査が続行されるか否かは審査官の裁量によります。
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