日本では発明の帰属や発明の対価などの職務発明に関する争いはいきなり裁判所が管轄となります。
一方でドイツでは職務発明に関する争いは原則まずドイツ特許庁内の仲裁機関(Schiedsstelle)が管轄し、当該仲裁機関で当事者間での合意に至らなかった場合に初めて裁判所への訴えの提起が認められます(ドイツ従業員発明法第37条)。
ドイツ特許庁内の仲裁機関の処理件数などは以下の通りです。
処理件数 | 合意 | 参加拒否 | その他 | 新規件数 | |
2015 | 74 | 44 | 15 | 15 | 60 |
2016 | 71 | 44 | 12 | 15 | 72 |
2017 | 79 | 55 | 16 | 8 | 54 |
2018 | 67 | 47 | 15 | 5 | 71 |
2019 | 58 | 43 | 9 | 6 | 61 |
上記テーブルからも明らかなように仲裁機関が処理したケースのおおよそ6割から7割で合意に至ってます(合意件数/処理件数)。裁判所と比較して仲裁機関では手続きも簡易で費用も安価です。裁判に先立って仲裁機関での手続きを義務付けるのは当事者間での合意を促し余計な訴訟を防ぐという観点からも好ましいと言えます。
ソース:https://www.dpma.de/docs/dpma/veroeffentlichungen/jahresberichte/jahresbericht2019.pdf
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