新規性の判断でドイツが欧州と異なる例2つ

新規性の判断基準はドイツ特許庁。・裁判所も欧州特許庁もほぼ同じですか、以下の2点においてドイツ特許庁・裁判所は欧州特許庁よりも厳しい判断基準を採用しています。

1.方法における用途限定

ドイツでは、方法クレーム中の用途限定は、一あくまで例示的なものであり、主題を限定するものではないとされています(BGH X ZB 9/09)。このため公知技術と用途が異なっても、工程が同一であれば新規性がなしとされます。一方欧州特許庁は方法における用途限定をステップの1つと解釈するので、公知技術と工程が同じでも用途が異なれば、新規性ありと判断される可能性が高いです。

例:
クレーム発明「ステップA,BおよびCを有するプリント板上の錫または錫-鉛電流電層を溶融するための方法」
引用発明 「ステップA,BおよびCを有する気相はんだ付け方法」

ドイツ:新規性が認められない
欧州:新規性が認められうる

2.公知数値範囲よりも狭い数値範囲

ドイツでは閾値によって定められた綴じられた範囲は、閾値の内にある全てのバリエーション、中間値およびそれらによって導き出される部分範囲を開示するとされています(BGH X ZB 11/90)。このため公知数値範囲よりも狭い数値範囲には一律新規性が認められません。一方で欧州特許庁は、公知数値範囲よりも狭い数値範囲であっても一定要件の下、選択発明としての新規性および進歩性を認めています(ガイドラインG-VI, 8)。

例:
クレーム発明 「化合物Xを7~10wt%含む組成物」
引用発明    「化合物Xを1~20wt%含む組成物」

ドイツ:新規性が認められない
欧州:新規性が認められうる

注意点

上記2つの例は、欧州特許庁で審査が通ってもドイツ国内で無効になる恐れがある例です。このため欧州特許の移行国にドイツを含む場合は、欧州特許庁の審査過程で上記2つの例に陥らないよう意識をしたほうがよいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました