欧州特許庁における情報提供についてよくあるQ&A

欧州特許庁の情報提供に関してよくある質問とその回答をまとめてみました。

Q. 情報提供に庁費用はかかりますか?

A.
いいえ。欧州特許庁における情報提供の庁費用は無料です。

Q. 匿名での情報提供は可能ですか?

A.
はい。欧州特許庁では完全匿名で情報提供をすることが可能です(過去の記事「EPOのプラットフォームを利用して情報提供をするには」をご参照ください)。

Q. 情報提供で指摘できる拒絶理由は何ですか?

A. 
明確性(EPC84条)、実施可能要件(EPC83条)、補正による新規事項の追加(EPC123条(2))、新規性(EPC54条)そして進歩性(EPC56条)です。

Q. 情報提供をできるのはいつからいつまでですか?

A. 
出願公開から査定が欧州特許庁の郵便部に渡されるまでです(G12/91)。また異議が申し立てられた場合は欧州特許庁に異議が係属中も情報提供をすることができます。

Q. 情報提供の好ましいタイミングはいつですか?

A.
EESRに対して出願人が対応した後であって最初の審査通知が発行される前が好ましいです。このタイミングに情報提供をすれば最初に審査通知において情報提供の内容が考慮される可能性が高いです。

Q. 情報提供のEPC規則71条(3)の通知(特許付与予定通知)が発行された後の情報提供は無駄ですか?

A. 
いいえ。EPC規則71条(3)の通知は査定ではないので、例えば強力な先行技術文献に基づく情報提供をした場合は実体審査が再開されることもあります。一方でEPC規則71条(3)の通知後の情報提供は無視されることが多いことも事実です。

Q. 情報提供前に審査官にコンタクトを取ることは有効ですか?

A. 
いいえ。情報提供者は当事者ではないので例えば「これから本出願について情報提供したいので審査の中断をお願いできますか?」と審査官にお願いしても全く考慮してもらえません。むしろ欧州特許庁の審査官は面倒な情報提供など考慮したくないので、このような問い合わせをすると逆に特許査定が促進されてしまうことがあります。

Q. 情報提供で提出した証拠はその後の異議で使用できなくなるということはありますか?

A. 
いいえ。欧州特許庁では情報提供で提出した証拠はその後の異議でも問題なく用いることができます。

Q. 日本語文献に基づく情報提供をする場合、文献の翻訳は必要ですか?

A. 
翻訳は義務ではありませんが、あった方が好ましいです(ガイドライン E-V,3)。また翻訳は機械翻訳で十分です。

Q. どんな情報提供が効果的ですか?

A. 
審査官がまだ引用していない文献に基づいて新規性を否定する情報提供が最も審査官に参照してもらえる気がします。一方で記載要件や進歩性を攻撃する情報提供は無視されることが多いです。

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