EU運営法によればEU圏内では自由な商品の流通の原則は、工業所有権の成立よりも原則優先されます(EU運営法34条および36条)。このため特許権者自身または特許権者の同意の下にEUの加盟国または欧州経済共同体の締約国内で流通した特許製品に関しては特許が消尽します(BGH GRUR 00, 299)。
例えばフランスで特許権者によって適法に販売された特許製品をドイツに輸入してもドイツ国内で当該特許権者による権利行使を受ける恐れはありません。
さらにEUまたは欧州経済共同体圏外であっても権利者によって流通された製品については、第三者が当該製品をEUまたは欧州経済共同体圏内の市場で流通させることを権利者が少なくとも推断的(konkludent)に同意していた場合は、当該製品に関してはEUまたは欧州経済共同体圏内でも権利が消尽します(CJEU C-292/00)。
したがって、例えば日本(EUまたは欧州経済共同体圏外)で特許権者から適法に購入した特許製品をドイツ(EUまたは欧州経済共同体圏内)に輸入しても、特許権者が推断的(konkludent)に輸入を同意したと認められる場合は、特許が消尽するため特許権者による権利行使を受けることはありません。
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