口頭での質疑応答の際に気を付けるべきこと3つのこと

我々弁理士の重要な仕事のうちの一つに電話やミーティング、講義などにおける口頭での質疑応答があります。

このような口頭での質疑応答のためには回答に必要な知識やノウハウがあればそれだけで十分かと思われるかもしれませんが、口頭での質問を正しく把握し求められている回答をすることは思いの外難しいです。むしろ知識やノウハウが増えれば増えるほど、質問者が求めていない回答をし、質問者が満足しないリスクが高まると私は思っています。

以下に私が口頭での質疑応答の際に気を付けている3点を紹介します。

1.質問を最後まで聞く

質問を最後まで聞くことは正しく質問を理解するための大前提です。なまじ知識やノウハウが増えてくると質問の途中で質問の意図および内容を理解したと早合点し質問者の質問を遮って回答しまいがちになります。しかし質問者が質問を述べている最中は質問者を遮らず聞くことに徹すべきです。

自分が話をしているところを遮られて快く思う人はいません。このため質問者の質問を遮ってしまうと、質問者はその後の回答の質のいかんにかかわらず質問を遮られたという事実だけで不満に思うことがあります。

2.質問の内容を確認する

質問を最後まで聞いた後は質問を正しく理解しなければなりません。質問内容を誤解してしまうと当然ながら適切な回答ができなくなるからです。ここでもなまじ知識やノウハウが増えてくると質問を正しく理解したと慢心しがちになりますが、自分の理解能力を謙虚に疑うべきです。

自分が質問を正しく理解したか否かは質問者に確認するしかありません。したがって質問を最後まで聞いた後は「あなたが知りたいのは○○であると理解しまいたが私の理解は正しいですか?」という感じで自分が理解した内容が質問者の意図に沿っているか否かを確認します。

ここで気を付けているのは可能な限り質問内容の確認はYesまたはNoで答えることができるクローズドな形でするということです。

「○○ってどういう意味ですか?」といったオープンな確認をしてしまうと質問者にとって負担になるだけでなく、話が脱線したりして、質問内容の確認に時間を要してしまいます。

3.必要最低限の情報で回答する

質問の内容を確認し、質問の内容を正確に理解した後は、質問に対して最低限の情報で端的に答えます。なまじ知識やノウハウが増えてくると話せることが増えるため、回答に余計な情報を盛り込みがちになります。しかし回答に余計な情報が入ると質問者が混乱し回答のコアな部分が正しく伝わりません。

また明確な回答が分からないときは長話で煙に巻こうとはせず正直に「わかりません」と答えるべきです。質問者にとってごまかしの回答を聞いている時間は無駄でしかありません。

したがって例えばYesまたはNoで答えられる質問に対する回答は「Yes」、「No」また「申し訳ございません。はわかりません」だけで大丈夫です。

また「どんな場合に○○になるのですか」というような質問に対する回答は「○○になるのは3つの場合です。1つが。。。2つ目が。。。そして3つ目が。。。。です」または「申し訳ございません。わかりません」で十分です。

上記のようなあっさりした回答だけでは不十分でなないかと思われるかもしれませんが、質問者は情報が不十分であると判断した場合は追加で質問してきます。このように質問者に追加で質問する余地を与えることで質疑応答の主導権を質問者にゆだねることができ、質問者の満足度向上にもつながると思います。

まとめ

上記3点は口頭での質疑応答においてかなり基本的なことです。しかしながら知識およびノウハウが増えてくると蔑ろになってしまいがちなことでもあります。

人間は自分の得意分野について話すときは長話になりがちなので特に「3.必要最低限の情報で回答する」については意識しなければ実行できません。

このように口頭での質疑応答で質問者を満足させるためには、知識およびノウハウの習得とは別の訓練が必要になると思います。

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