統一特許裁判所のOpt Outが制度発効後どのように活用されているかをを調べてみました(「Opt Outって何」という方は過去の記事「欧州単一特許制度についてよくあるQ&A」をご参照ください)。
I. 方法
ツール
– EP Bulletin search (Database: BULL 2024/46)
検索式
– UPC協定発効後の2023年7月以降に登録になったOpt Out申請数:OORG = 202X/XX
– UPC協定発効後の2023年7月以降、2023年内に登録になった欧州特許数:PUB1 >= 20230701 and PUB1 <= 20231231
– 2024年10月まで2024年内に登録になった欧州特許数:PUB1 >= 20240101 and PUB1 <= 20241231
– Opt Out登録の取下げ数:OOWD = 202X/XX
II. 結果
(1)月別2023年7月以降に登録になったOpt Out申請の推移
(2)2023年および2024年のOpt Out申請率(Out Outの申請数/欧州特許の登録数)
(3)2023年および2024年のOpt Out取下げ率(Opt In率)
III. 考察
「月別2023年7月以降に登録になったOpt Out申請の推移」のグラフからもわかるようにOpt Outの登録数はUPC協定発効直後の2023年7月の6230件が最も多く、その後は急激に減少し、現在では概ね平均1000~2000件/月で安定している。
またOpt Outの申請率は2023年の26.2%と比較して2024年では13.89%と半減している。
さらにOpt Out申請の取下件数は2023年の53件と比較して、2024年は11月13日現在で既にその10倍以上の577件に達している。
Opt Outは従来の欧州特許のセントラルアタックによる取消しを防ぐための制度として特にUPC協定発効前に重要視されていた。しかしこれらの結果は現在ではユーザがOpt OutをUPC協定発効前ほどは重要視していないことを示唆している。またOpt Out登録の取下数が顕著に増加していることは、特許権者が各国裁判所ではなくUPCで特許権侵害訴訟を提起することを積極的に検討していることも示唆する。
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