Poisonous Divisionalは解毒された?続報

以前の記事でPoisonous Divisional(毒になる分割出願)の問題は拡大審判部の新たな判決によって解消されるはずと説明しましたが、以前の記事を書いた時点では判決の理由が公開されていなかったため、確実なことは言えませんでした。

そして先日2月1日に判決(G01/15)の全文が公開されました。
判決の全文は現在EP0921183のRegisterのDecision of the Enlarged Board of Appealから入手することができます。

判決の全文に目をとおしてみましたが、部分優先の新たな判断基準を採用したことによりどうやら毒になる分割出願の問題はほとんどのケースにおいて解消されたと思います。

より具体的には、従来の部分優先の判断(G2/98)では
  ①クレームが基礎出願の主題を含むこと、そして
  ②その主題がクレームの限定数の明確に定義され選択的主題(limited number of clearly defined alternative subject matters)」であること、
の二つの要件を満たさなければ部分優先が認められないとされていましたが、今回の拡大審判部の判断では上記②の要件は部分優先を判断する上で必要がないと結論付けました。

以下に判決の理由の一部を抜粋します。

「包括的ORクレーム(generic“OR“claim)内の主題が部分優先を享受できるかの評価において、最初のステップでは基礎出願に開示された重要な主題、すなわち優先期間中に開示された先行技術との関連で重要になる主題を特定する。・・・次のステップでは当該主題が優先権を主張する出願または特許のクレームに含まれるかどうかを審査する。もし答えがYesの場合、クレームは事実上概念的に2つの部分に分割され、第1の部分が基礎出願に直接的かつ明確に開示された発明に対応し、包括的ORクレームのその他の部分でる第2の部分は優先権を享受できないが、それ自体EPC88条(3)に従い優先権を発生させる。」(判決の理由6.4)

「・・・部分優先の権利の評価は、その他の追加的要件を要しないことを示す。」(判決の理由6.7)

この判決により部分優先が格段に認められやすくなりました。出願人にとっては大変歓迎すべき判決であったと言えます。


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