OA対応において現地代理人に伝えるべき情報

日本からの現地代理人へのOA対応の指示書は一般的に高品質です。例えば補正案を含むOA対応の指示書には補正の根拠、発明の説明および引用文献との差異等に関する情報がしっかりとコメントとして記載されている場合が多いので、現地代理人としてはOA対応がやりやすいと思います。

しかしながら補正の根拠、発明の説明および引用文献との差異等の情報は、その気になれば現地代理人自らが明細書および引用文献を読み込むことで入手することは可能です。したがって、補正の根拠、発明の説明および引用文献との差異等の情報等を含まず単に補正案だけの指示書を貰ったとしても(もちろん作業時間は長くなり代理人費用が嵩んでしまいますが)最終的に作成される提出書面の品質にはそれほど影響を及ぼさないと思います。

一方で、そのような高品質な日本からのOA対応の指示書であっても権利化業務に極めて大きな影響を及ぼしながらも現地代理人が知ることができないある情報が含まれていることは稀です。

権利化業務に極めて大きな影響を及ぼしながらも現地代理人が知ることができないある情報、それは。。。。

クレームがカバーすべき自社または他社の実施形態の有無についての情報

です。

日本の出願人から物理的にも心理的にも比較的遠い場所にいる現地代理人にとってはこの情報には教えてもらう以外にはアクセスする術がありません。しかしクレームがカバーすべき実施形態があるか無いかによっては権利化の戦略が大幅に変わってくるので、この情報の影響力は大です。この情報を現地代理人に事前に渡しておけば現地代理人が的外れな提案をしてくるリスクも減らすことができます。

このためクレームがカバーすべき実施形態が有る場合は、「従属項3までであれば実施している製品をカバーできるので限定してもよい」というような情報を積極的に指示書に盛り込むことをお勧めします。

また仮にクレームがカバーすべき実施形態が無い場合であっても、単に特許になればよい出願なのか、それとも出来る限り広い保護範囲を確保したい出願なのかのように出願の重要度に関する情報があれば、現地代理人も無駄なく目的を遂行するように働くはずです。

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