3.6.3 データ検索、フォーマットおよび構造
媒体上に、または電磁的搬送波として具体化されたコンピュータで実行されるデータ構造またはデータフォーマットは、全体として技術的特徴を有し、したがってEPC52条(1)の意味における発明である。
データ構造およびデータフォーマットを評価するとき、機能的データと認知的データのとで区別がされる(T 1194/97)。機能データは、データを処理する装置の動作を制御する役割を有する。機能データは本質的に、装置の対応する技術的特徴を含むかまたは反映する。一方、認知データとは、その内容と意味が人間のユーザーにのみとって重要なデータのことである。機能的データは技術的効果の発生に寄与するが、認知的データはそうではない。
例えば、画像検索システムで使用するための記録担体は、コード化された画像、そしてその記録担体からの画像を復号しアクセスする方法をシステムに指示する行番号およびアドレスについて定義されたデータ構造を記憶する。このデータ構造は本質的に写真検索システムの技術的特徴を含む条件で定義された機能データである。写真検索システムとはすなわち記録担体およびそれから画像を検索するための読取装置である。従って、それは記録担体の技術的性質に寄与するが、記憶された画像の認識内容(例えば人または風景の画像)は技術的性質に寄与しない。同様に、データベース内の記録を検索するために使用されるインデックス構造は、コンピュータが検索操作を実行する方法を制御するので機能的データである(T1351/04)。
他の例は、ヘッダと内容部とを有する電子メッセージである。ヘッダ内の情報は、受信メッセージシステムによって自動的に認識され処理される命令を含む。この処理では内容要素がどのように構築され最終受信者に提示されるべきかが決定される。ヘッダ内のそのような命令の提供は電子メッセージの技術的性質に寄与するが、認知データである内容部内の情報はそうでない(T858/02)。
ただし、抽象論理レベルのデータモデルおよびその他の情報モデルには、それ自体技術的性質を有さない(G-II, 3.6.2を参照)。
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