ZABによる学位・資格の審査報告書の取得手続きと注意点

日本の大学を卒業して、ドイツで留学、就職または資格取得をしたい場合、ドイツの文部省の管轄下にある国際教育センター(Zentralstelle für ausländisches Bildungswesen、通称ZAB)という公的機関が発行する学位・資格の審査報告書の提出が求められることがあります。

この学位・資格の審査報告書とは「この人が卒業した外国の大学はドイツの大学と同じぐらいちゃんとした大学ですよ」ということを証明するための書面で、私はドイツ弁理士試験の受験資格を得るための研修に申し込む際に提出が求められました。

この学位・資格の審査報告書を得るにはanabinと呼ばれるZABの運営サイトから申請しなければならないのですが、anabinの構造が非常にユーザアンフレンドリーなため、まず申請の仕方や必要書面の種類が非常に分かりにくいというハードルがあります。

また上記ハードルを乗り越えて申請を完了させたとしても、今度はZABの担当者とのやり取りで、遅い、不親切、不正確といったドイツの役所手続きの神髄を体験することになります。

ドイツ語での意思疎通自体にはそれほど不自由しない私であっても審査報告書の取得にはかなり苦労しました。

今後この審査報告書の取得を希望される方の苦労が少しでも軽減出来ればと思い、私自身が経験した日本の大学の修士資格を対象としたZABの審査報告書の取得手続きおよび注意点についてまとめてみました。

1.審査の対象

申請に先立って、まず自分が卒業した大学の学位がZABによる審査の対象のなっているかを調べなければなりません。自分の大学が審査の対象か否かはZABの運営サイトであるanabinのデータバンクから調べることが出来るのですが、基本的に日本の文部省管轄下の大学しかデータバンクに入っていません。つまり防衛大学や気象大学のような文部省管轄外の大学の学位は審査の対象とはなりません。

参考サイト:

https://tobitate-german.com/anabin

2.必要書類

(a)願書
(b)日本語版修士課程の修了証明書の認証コピー
(c)日本語版修士課程の成績証明書の認証コピー
(d)日本語版修士課程の学位記の認証コピー
(e)大学が発行する英語版修士課程の修了証明書の認証コピー
(f)大学が発行する英語版修士課程の成績証明書の認証コピー
(g)修士課程の学位記のドイツ語公式翻訳の認証コピー
(h)修士論文の普通コピーまたは修士論文を提出したことを証明できる書面の普通コピー
(i)日本語版学士課程の卒業証明書の普通コピー
(j)日本語版学士課程の成績証明書の普通コピー
(k)日本語版学士課程の学位記の普通コピー
(l)日本語版高校卒業証明書の普通コピー
(m)日本語版高校成績証明書の普通コピー

注意点

・(a)の願書は申請フォームに必要事項を記入することで得ることができます。

・ZABでの審査では例外なく(a)~(m)の書面が全て求められます。どう考えても(d)の学位記や(l)高校卒業証明書など必要ないだろうと思われるのですが、書面が1つでも欠けていると審査報告書を得られることができません。特に学位記や修士論文については「どこにしまったっけ?」という方も多いと思うのでお早目に探しておくことをお勧めします。

・ちなみに私は恥ずかしながら修士論文を見つけられなかったので大学に修士論文を提出したことを証明するこのような書面を準備してもらい提出しました。

・また(b)~(g)で必要になる「認証コピー」とはドイツの公証人(Notar)によって作成されたコピーのことです。

・さらに(h)で必要になる「公式翻訳」とはドイツの国家認定翻訳者による公式翻訳(Beglaubigte Übersetzung)の事です。

参考サイト

404-Fehler

3.費用

200ユーロ

参考サイト

Fees | Statement of Comparability

4.申請の手順

(1)ZABの申請フォームに必要事項を記入します。
 ↓
(2)申請フォームの一番下にあるSendボタンを押して記入済フォームを送信します。
 ↓
(3)記入済フォームを送信すると願書のPDFのリンクが記されたページが開きます。
 ↓
(4)リンクをクリックし、願書のPDFデータを入手し、印刷します。
 ↓
(5)印刷した願書にサインします。
 ↓
(6)サインした願書を上記必要書面(b)~(m)と一緒に、以下の住所に郵送します。以下の住所は願書の最初のページにも記載してあります。
   Sekretariat der Ständigen Konferenz der Kultusminister der Länder
   Zentralstelle für ausländisches Bildungswesen
   Postfach 2240 D-53012 Bonn
 ↓
(7)願書がZABに受理されるとZABから請求書が送られてきます。
 ↓
(8)請求書に記載された銀行口座に審査費用(200ユーロ)を入金します。
 ↓
(9)ZABによって入金が確認されたらZABが審査を開始します。
 ↓
(10)書面当に不備があればメールで担当者から連絡が来ます。
 ↓
(11)審査が無事完了すれば審査報告書が郵送で送られてきます。

注意点

・ステップ(6)での郵送手続きの前に、準備した書面一式をFAX(FAX番号:+49 228 501777)およびメール(zabservice@kmk.org)でZABに送付しておくことをお勧めします。なぜかと言うと、ちゃんと全ての必要書類を郵送したにも関わらずZABの担当者が「書類××が不足しているます」と指摘してくることがあるからです。一方で郵送手続きに加えてFAXやメールでも書類一式を送付しておけば「このメール送付記録にも残っているように、書類××は確かに送付しているはずだ」といった反論が可能になります。

・またステップ(10)でZABから送られてくる不備を指摘したメールですが、返信しても無視されることが多いです。私自身が経験した例では上記のようにメールで「このメール送付記録にも残っているように、書類××は確かに送付しているはずだ」と返信したにもかかわらず「前回の不備を指摘したメールに対する返信が無かったので、申請を取り下げ、審査を終了します」という通知が送られてきました。

・このためZABからの不備を指摘したメールに対して返信した後は、ZABに電話をし(+49 228 501664)、担当者に口頭で不備が無いことを説明することが好ましいです。さらに担当者と電話で話した内容は議事録にまとめ、その議事録をメールでもよいので担当者に送ることをお勧めします。なぜなら担当者は電話で約束した内容を「そんな約束はした覚えがない」と言って平気で破ってくるからです。このため担当者に約束してもらった内容を議事録という書面に証拠として残しておくことで、後から担当者に約束を破られるリスクを低減することができます。

参考サイト

Application | Statement of Comparability

まとめ

このようにZABの審査報告書を取得するには申請に必要な書類を準備するだけで一苦労します。さらに「3.申請の手順」の注意点からも察してもらえるかと思いますがZABの担当者とのやり取りには非常に神経をすり減らします。担当者との無駄なやり取りを防ぐためにも申請時に出来る限り不備のない完全な申請書面を準備することをお勧めします。

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