欧州特許とドイツ国内特許との間のダブルパテントの取扱い

ドイツでは、欧州特許出願と同一の対象について欧州特許出願と同一の出願人がドイツで国内特許出願することは禁止されていません。また審査過程で欧州特許とドイツ国内特許間のダブルパテントを排除する規定もドイツにはありません。

このため以下の例のようにドイツの国内特許の同一の対象を有する欧州特許がドイツで有効化された場合、ドイツの国内特許と欧州特許のドイツ部分との間で合法的にダブルパテントが生じることがあります。

例:

このように、ドイツの国内特許と欧州特許のドイツ部分との間でダブルパテントが生じたときの取り扱いはGesetz über internationale Patentübereinkommen (InPatÜG)に定められています。

より具体的にはInPatÜGのArt.II、§8によって、欧州特許と同一の優先権を主張するドイツ出願について特許が付与された場合、ドイツ国内特許は、欧州特許と重複する部分において効力を失う旨が規定されています。すなわち欧州特許をドイツの国内特許よりも優先させることで重複保護を排除しています。

ちなみに、事後的に欧州特許が放棄、取り消し、訂正されることで当該ダブルパテント状態が解消されたとしても、ドイツ国内特許の効力が失われた部分は回復しません。

なお、ドイツ国内の実用新案権についてはこのような規定はありません。したがって、EP特許とドイツ実用新案権との間では合法的に権利範囲が重複し得ます。

参照条文

InPatÜG Art.II §8
二重保護の禁止
(1)特許法に基づく手続で付与された特許の主題が、同じ発明者またはその後継者がドイツ連邦共和国に効力を有する同じ優先権の欧州特許を付与された発明である限り、特許は欧州特許と同じ発明を保護する範囲で次の瞬間から、効力を失う。

 1.異議が申し立てられることなく、欧州特許に対する異議申立の期限が切れとき、
 2.欧州特許を維持された状態で異議申立手続きが法的に締結されたとき、または
 3.特許が上記1または2で言及されている日付より後の付与されたとき。

(2)欧州特許の失効、無効の宣言、失効および制限は、第1項の法的結果に影響を与えないものとする。

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