ドイツの新国内移行期限31カ月はどのPCT出願に適用されるか

ご存知の方も多いかと思いますがドイツでは2021年8月17日に公布された「第2次特許法等改正に係る特許法の簡素化・現代化のための法律(Zweites Gesetz zur Vereinfachung und Modernisierung des Patentrechts )」によりPCT出願のドイツ国内移行期間が30ヶ月から31カ月に延長されることとなり (Art. III § 4 IntPatÜbkG) 、これが2022年5月1日より発効します。

ここで疑問に思うのが以下のPCT出願Aのように現時点で有効な旧国内移行期間である30ヶ月は4月中に満了するが、新国内移行期間である31カ月は5月中に満了するようなPCT出願には新旧どちらの移行期限が適用されるかということです。

 PCT出願A
  移行期間を30ヶ月としたときの移行期限:4月10日
  移行期間を31ヶ月としたときの移行期限:5月10日

新国内移行期間である31カ月は5月1日より発効するので、5月1日の時点で31カ月の移行期間が満了していない上記PCT出願Aのような出願にも新国内移行期間である31カ月が適用されると考えることも可能です。

しかし以下の2022年3月16日のドイツ特許庁からの通知の抜粋からも明らかなように、新国内移行期間である31カ月が適用されるのは2022年4月30日の時点で現時点で有効な旧国内移行期間である30ヶ月が満了していないPCT出願のみです。

Das DPMA beabsichtigt, die geänderten Vorschriften dahingehend anzuwenden, dass sie für alle PCT-Anmeldungen gelten, für die am 30. April 2022 die bislang geltende 30-Monatsfrist noch nicht abgelaufen ist bzw. nicht abläuft.

和訳:ドイツ特許庁は、改正された規定を、2022年4月30日に従来適用されていた30ヶ月の期間がまだ満了していない、または満了しないすべてのPCT出願に適用することを意図しています。

このため上記PCT出願Aのように4月30日の時点で30ヶ月の移行期間が満了している場合、仮にに31ヶ月の移行期間が5月1日以降に満了する場合であっても、新国内移行期間の適用は受けられません。

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