欧州ではクレームの明確性は出願の拒絶理由にはなりますが(EPC84条)が異議理由にはなりません(EPC100条)。
一方で異議の過程でクレームが補正された場合はEPC101条(3)に従い補正後のクレームの明確性が異議における審査の対象となることがあります。
しかし異議でクレームが補正されたからといって必ずしも明確性が審査される訳ではありません。拡大審判部の判決G 3/14によれば異議において補正後のクレームの明確性を審査してよいのは「補正がEPC84条違反を導入しかつその導入範囲においてのみ」とされています。
以下に欧州特許庁の異議においてクレームの明確性の審査がされる補正とそうでない補正とを紹介します。
クレームの明確性の審査がされない補正
1.独立クレームに従属クレームをそのまま導入する補正
2.独立クレームにおける選択肢を削除する補正
3.独立クレームにおける任意の特徴を削除する補正
クレームの明確性の審査がされる補正
1.明細書から特徴を導入する補正
2.独立クレームに従属クレームの特徴の一部を導入する補正
まとめ
欧州特許庁は明確性に厳しいので異議で明確性が審査されることは避けたいです。特に明細書からの特徴を導入する補正は不明確な事項を導入しやすいので避けることが好ましいです。
このため異議における補正は出来るだけ従属クレームをそのまま追加する補正に留めておくこと、そして必要であれば出願審査過程で重要そうな明細書の特徴は従属クレームとして追加し、異議における安全な補正用のストックを確保することをお勧めします。
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