Useクレームの権利範囲

日本の実務ではまず使われることはありませんが、欧州およびドイツの実務ではクレームカテゴリとしてuse(使用)がよく用いられます。

Useクレームは、具体的にどのような権利範囲を有するのでしょうか。
欧州特許庁での取り扱いと、ドイツ国内での取り扱いとに分けて説明します。

・欧州特許庁での取り扱い
 欧州においてはUseクレームと方法クレームとの権利範囲に差異はありません。
例えば、
 方法クレーム:化合物Xを使用して殺虫する方法 と
 Useクレーム:化合物Xの殺虫剤としての使用 と 
の権利範囲は同じとして取り扱われます。

・ドイツ国内での取り扱い
 一方ドイツの最高裁の判例(BGH GRUR 90,505)においては、Useクレームと方法クレームとの権利範囲は異なるとされています。より具体的には、ドイツにおいては、Useクレームの権利範囲は、「明白な準備(Sinnfällige Herrichtung)」まで拡張されます。ここで「明白な準備」とは、簡単に言えば「特許された使用を前提とする物の提供」を意味します。

例えば
 方法クレーム:化合物Xを使用して殺虫する方法 の権利範囲は、化合物Xを製造、販売する行為には及ばないのに対し、
 Useクレーム:化合物Xの殺虫剤としての使用 の権利範囲は、化合物Xを殺虫剤(パッケージや説明書等に殺虫剤として適していることを明示する)として準備、販売する行為まで及びます。

参考図書:欧州審査基準、Schulte

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