ドイツにおける要約書のボリュームの制限について

日本特許庁作成のドイツ特許規則13条(1)の和訳では出願書面の一つである要約書のボリュームについて以下のように記載しています。

第13条 要約
(1) 特許法第36条に従う要約は,1,500語以下とすることが好ましい。

「1500語」というと米国や欧州と比較してかなり多いです。したがってドイツ向けの出願では要約書のボリュームを多くできると思われる方も居るかもしれません。

しかしこの「1500語」という和訳は誤りです。

以下の実際のドイツ語の原文によるドイツ特許規則13条(1)を見てみますと「1500 Wörter (1500語)」では無く、「1500 Zeichen(1500文字)」と記載されていることが分かります。

§ 13 Zusammenfassung
(1) Die Zusammenfassung nach § 36 des Patentgesetzes soll aus nicht mehr als 1500 Zeichen bestehen.

したがってドイツ特許規則13条(1)の正しい和訳は

「特許法第36条に従う要約は,1,500文字以下とすることが好ましい。」

になります。

なおドイツでは要約書のボリュームを単語数ではなく文字数で制限しているのはドイツ語の言語学的性格に起因します。

ドイツ語では複数の単語を1つの単語に纏めることができるため1つの単語の文字数が多くなる傾向があります。

このため要約書の単語数のみを制限したとしても、実際のボリュームの制限力は限定的です。このため単語数ではなく文字数の制限によって要約書のボリュームが制限されています。

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