ドイツのPbPクレームの解釈では物同一説が採用されることがよくわかる最高裁判決

ドイツではプロダクトバイプロセスクレーム(以下PbPクレーム)の解釈に審査時も侵害判断時も物同一説を採用します。今回はこの物同一説の考えがよく表れた侵害事件におけるドイツ最高裁(BGH)の判決(事件名:Kochgefäß、ケース番号:X ZR 81/13)を紹介します。

 

1. クレーム1

 M1: 被覆底部(18)を有する調理鍋(10)であって、
 M2: その被覆底部の保護被覆(22)の周壁(26)に、隆起部(28、30)および/あるいは陥没部(32、34)が形成され、
 M3: 前記隆起部(28、30)および/あるいは前記陥没部(32、34)は、前記被覆底部(18)を製造するために使用される成形型に対応した凹陥部および/あるいは突出部を設けることで得られる、調理鍋(10)。


2. 明細書:

被覆底部を製造するために使用される成形型に対応した凹陥部および/あるいは突出部を設けることによる技術的効果に関する記載はない。

3. 論点:

M3の製造方法的特徴はクレーム1の発明を何らかの形で限定するか?

4. ドイツ最高裁の当該製造方法に関する特徴の解釈:

M3の製造方法的特徴はクレーム1の発明を限定しない。

5.判決文の抜粋:

このプロダクトバイプロセスクレームとしての表現は単に特許製品を記述するものであって、実際にM3において記載された方法によって製造された製品を限定するものではない。
Diese Formulierung des Anspruchs als product-by-process-Anspruch dient allein der Kennzeichnung des patentgemäßen Erzeugnisses und bringt keine Beschränkung auf Erzeugnisse zum Ausdruck, die tatsächlich mittels der in Merkmal 3 geschilderten Vorgehensweise hergestellt worden sind.

例え対象特許の明細書を考慮してクレームを解釈したとしても、保護対象をクレームの記述中に用いられた方法ステップに限定すべき示唆はない。

Auch aus der gebotenen Auslegung des Patentanspruchs unter Berücksichtigung der Beschreibung des Klagepatents ergeben sich keine Hinweise auf eine Beschränkung des geschützten Gegenstands durch den zu seiner Kennzeichnung herangezogenen Verfahrensweg.

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