方法クレーム中の用途限定の解釈(欧州)

先日の記事ではドイツでは方法クレーム中の用途限定は原則発明を限定しないと説明しました。ところが欧州特許庁では方法クレーム中の用途限定は発明を限定すると解釈される傾向にあります。


例えば審決T848/93によると、「プリント板上の錫または錫-鉛電流電層を溶融するため」の方法に関する発明は、引用文献の「気相はんだ付け」方法と手段が同じであるものの用途が異なることから新規性を有すると判断されています。当該審決では欧州特許庁は「プリント板上の錫または錫-鉛電流電層を溶融するため」という用途限定はクレームされている方法におけるステップの一つを規定していると解釈しています。


ただし欧州特許庁は、製造方法クレームにおいて製造される物の用途が限定されている場合は、当該用途限定は例示的な特徴として判断します。


例えば欧州特許庁は、


体液を吸収する使い捨て吸収性製品に関連した悪臭を減らすための方法であって、

吸収性製品の使用の前に、該吸収性製品に親水性/親油性バランスが約12より小さい界面活性剤の有効量を施す工程を有し、

該界面活性剤は尿の臭気を減少するのに有効であり、該吸収性製品は、水膨潤性水不溶性吸収材料を含むことを特徴とする方法。」


は実質的に製造方法のクレームであり、「体液を吸収する使い捨て吸収性製品に関連した悪臭を減らすため」という用途限定はせいぜい方法が当該用途に適していることを特定するに過ぎないと判断しています。このため上記クレームの新規性は、当該用途に関する開示はないものの、同一の手段を有し当該用途に適した方法を開示した引用文献によって否定されています(T304/08)。

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