欧州にはEPC53条(b)の規定により植物及び動物の品種又は特許の対象とならないことが規定されています。またEPC規則28条(2)の規定により、本質的に生物学的方法によってのみ取得された植物または動物も特許の対象とならないことが規定されています。
これらの規定のせいか欧州では動物および植物は特許の対象とならないと思われている日本の実務家の方に遭遇することがあります。
しかし欧州特許庁では動物または植物は特許の対象となります。
まずEPC53条(b)が非特許対象としているのはあくまで植物および動物の「品種(varieties)」です。つまりEPC53条(b)は植物および動物のそのものを非特許対象としていません。
一方、EPC規則28条(2)は植物および動物のそのものを非特許対象としていますが、非特許対象となるのはあくまで「本質的に生物学的方法によってのみ取得された」植物および動物です。
ここで「本質的に生物学的方法によってのみ取得された」とは異種交配 (crossing) 又は淘汰 (selection)等を意味します。一方で遺伝子組換えなど遺伝的特徴を改変する方法は「本質的に生物学的方法」ではなく「技術的方法」とされています(ガイドラインG-II, 5.4)。
つまり遺伝子組換えを含む方法によって取得された植物および動物はEPC53条(b)にもEPC規則28条(2)にも非特許対象とはされておらず特許の対象となります(ガイドラインG-II, 5.4)。
実際に遺伝子組換動物を対象とした欧州特許も遺伝子組換植物を対象とした欧州特許も検索すればすぐに見つかります。
このように欧州では動物も植物も特許の対象となるため動物および植物そのものの権利化を欧州であきらめる必要はありません。
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