EPOでは新たな従属クレームを追加する補正はあまり意味がありません

欧州特許出願のOA対応でクレーム1は補正せず、新たな従属クレームを追加する補正の指示を受けることがあります。これは補正無しのクレーム1の特許性が認められなかった際には新たに追加した従属クレームの審査してもらうことを期待した指示だと思われます。しかしながらほとんどの場合その期待は裏切られることになります。

審査官は新たな従属クレームを審査してくれません

そもそも欧州特許庁のガイドラインは出願時(調査段階前)にある従属クレームの特許性を審査することを明確に審査官に義務付けていますが(GL B-III, 3.7)、出願後に例えば拡張欧州調査報告(EESR)に対する応答の際に追加された新たな従属クレームの特許性を審査する義務はガイドラインに明示されていません。

したがってほとんどの場合、審査官はクレーム1の特許性が認められないと判断した際には、新たに追加された従属クレームの審査することなく新規のOAを発行します。

このため欧州特許庁におけるOA対応で新たな従属クレームを追加する補正はあまり効果的ではありません。

クレーム1以外のクレームを審査して欲しい場合は補請求を活用

どうしても「クレーム1は補正したくない、けれどもクレーム1の特許性が認められなかったときは追加の特徴も審査してほしい」という場合は、補正無しのクレームを主請求(Main Request)とし、補正いより特徴をクレーム1に追加したものを補請求(Auxiliary Request)とすることをお勧めします。

補請求の審査の義務はガイドラインに明示されていますので(GL E-X, 2.9)、補正無しの主請求の特許性が認められなかった際には、補正により特徴が追加された補請求が確実に審査されることになります。

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