UPCでのOpt Out申請は権限の無い第三者でもできてしまいます

UPC協定発効後の移行期間中はOpt Out手続きにより従来の欧州特許について統一特許裁判所の管轄を除外することができます(Opt Outって何という方は過去の記事「欧州単一特許制度についてよくあるQ&A」をご参照下さい)。

このOpt OutはUPC協定発効3ヵ月前のSunrise periodから統一特許裁判所のCase Management Systemを介して特許権者またはその代理人が申請することができます。

ここで注意しなければならないのはこのCase Management SystemではOpt Outの申請者がOpt Outを申請する権限を有するのかがチェックされないということです。

つまり何ら権限の無い第三者が善意または悪意で他人の欧州特許についてOpt Outを申請してしまうことが可能です。同様に権限の無い第三者が善意または悪意で他人の欧州特許についてすでになされたOpt Out申請を取り下げることも可能です。

したがって統一特許裁判所のレジスターに公開される自社の欧州特許に関するOpt Out申請を定期的にチェックして、権限の無い第三者からのOpt Out申請またはOpt Out申請の取下げが無いかを定期的にチェックする必要があります。

このチェックにかかる労力を軽減するために統一特許裁判所は特許権にOpt Out申請またはOpt Out申請の取下げがあった場合はその都度通知するシステムを導入しても良いと思うのですが、統一特許裁判所の公式F & AでGoogle Alertsをなど外部のサービスを使うことが推奨されていることから推測することこのような通知システムを導入する予定はなさそうです。

また、権限の無い第三者からのOpt Out申請またはOpt Out申請の取下げがあった場合は、統一特許裁判所がOpt Out申請を処理する前に、正当な権限を有する者がそのOpt Out申請またはOpt Out申請の取下げを訂正できる手続きが導入される予定です。しかし具体的にどのような手続きになるかは今のところ決定していません。

さらにそもそもCase Management Systemで権限の無い第三者からのOpt Out申請またはOpt Out申請の取下げを制限するための何らかの措置を導入すれば良いとも思うのですが、統一特許裁判所の公式F & Aによるとこのような措置の導入は困難なので導入予定は無いとのことです。

参考サイト:
統一特許裁判所の公式F & A

 

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