UPCにおける仮差止めの概要

仮差止めの主体的要件

特許権者および専用実施権者(UPC協定47条)

仮差止めが認められるための客体的要件

1. 特許が有効であることが十分に確実であること(UPC裁判所規則211条2項)

2. 権利が侵害されていること,又はかかる侵害が差し迫っていることが、十分に確実であること(UPC裁判所規則211条2項)

3. 不当な遅延なく(without unreasonable delay)仮差止めが申請されたこと(UPC裁判所規則211条4項)

被申請人が意見を述べる機会はあるか?

原則、被申請人には答弁書を提出し、かつヒアリングで意見を述べる機会が与えられるが「遅滞が申請人に回復不可能な損害をもたらす可能性が高い場合、または証拠が隠滅される明白な危険がある場合」は、被申請人に一切意見を述べる機会が与えられず、かつヒアリングが開かれることもなく仮差止めが認められうる(UPC裁判規則212条1項)。

仮差止めに対する対抗手段

ヒアリング無しの仮差止めを防止するために、仮差止めの要件を満たさないことを説明するProtective letter を予め裁判所に提出することができる(UPC裁判規則207条)。

しかし説明が十分なProtective letterを提出してしまうと、逆にヒアリング無しの仮差止めを誘発し得る(例UPC_CFI_177/2023)。

仮差止めのフロー

不服申立て手段

仮差止めの決定に不服がある場合はAppealを請求することが可能(UPC協定73条)。

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