欧州特許庁(EPO)は現在、デジタルトランスフォーメーション(DX)を急速に進めています。従来のオンプレミス型ツールから、MyEPOという名称のクラウド型プラットフォームへの移行が完了しつつあります。
MyEPOには以下の「MyEPO Portfolio」、「Online Filing 2.0」そして「Central Fee Payment」3つのサービスが含まれます。以下それぞれのサービスを紹介します。
1. MyEPO Portfolio
欧州特許庁手続の中心となるオンラインポータルです。欧州特許庁に係属中の自己の欧州特許出願を一覧管理でき、備え付けのMailboxでEESR等の庁通知を受領可能です。出願書面そしてPACE申請等の提出はでませんが、書誌的事項の変更申請、中間応答書面の提出が可能です。
MyEPO Portfolioで出来ること
・庁通知を受領
・中間応答書面の提出
・中間応答期限の管理
・書誌的事項の変更申請
・権利の移転申請
・代理人変更申請
・出願の取下げ
MyEPO Portfolioで出来ないこと
・欧州特許出願用書面一式の提出
・欧州移行用書面一式の提出
・PACE申請の提出
・異議申立て
・審判請求
・庁費用納付
2. Online Filing 2.0
インストール不要のクラウド型電子出願システムです。欧州特許出願(EP1001)、PCT出願の欧州移行(EP1200)、異議申立て、審判請求などをオンラインで提出可能です。提出後の書面は MyEPO PortfolioのMailbox に連携され、MyEPO Portfolio上で案件管理が可能になります。
Online Filing 2.0で出来ること
・出願用書面、中間応答書面を含むあらゆる書面、申請の提出
Online Filing 2.0で出来ないこと
・庁通知を受領
・中間応答期限の管理
・庁費用納付
3. Central Fee Payment
欧州特許庁におけるの料金をオンラインで一元管理・決済できるサービスです。出願料、調査料、審査料、指定料、維持年金、異議申立料などの支払が可能です。庁費用の納付にはクレジットカード、銀行送金または前払勘定を選択することができ、複数案件をまとめて支払う一括処理や、決済状況の即時確認が可能です。欧州特許出願番号を入力すると必要な料金が自動表示されます。
Central Fee paymentで出来ること
・あらゆる庁費用の納付
Central Fee paymentで出来ないこと
・あらゆる書面、申請の提出
・庁通知を受領
・中間応答期限の管理
・庁費用納付
まとめ
このようにMyEPOを活用すればクラウド上でほぼ全ての庁手続きが可能になります。日本の出願人等がこのMyEPOサービスを活用しているという話はこれまでほぼ聞いたことがありませんが、使い方によっては日本企業だけでなく日本の特許事務所にも費用の大幅削減を含むかなりのメリットを提供できるツールです。
弊所Hasegawa弁理士事務所では日本の特許事務所そして日本企業向けにMyEPOサービスの導入そして活用のサポートもしておりますので、もしご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。


