職務発明制度における使用者の義務(ドイツ)

ドイツでは従業者がした職務発明(Diensterfindung)は、発明の届出後は通常自動的に使用者に帰属します(従業者発明法第6条)。また職務発明の届出は従業者の義務です(従業者発明法第5条)。このようにドイツでは職務発明制度において従業者の立場が弱いことから、使用者に対して様々な義務を設け、使用者と従業者との間の利害を調整しています。

具体的には、使用者には職務発明の取り扱いにおいて以下の義務が課せられます。

1.職務発明の承認義務

従業者は職務発明をした場合、使用者に届け出ることを義務付けられていますが、使用者はこれに対し、速やかに承認する義務が課せられています(従業者発明法第5条)。

2.対価の支払い

使用者は、職務発明をした従業者に適切な額の対価を支払う義務が課せられています(従業者発明法第9条)。

3.出願義務(ドイツ国内)

使用者は、職務発明について国内(ドイツ)出願をする義務が課せられています(従業者発明法第13条)。当該義務は、(1)職務発明についての受ける権利を従業者に受け渡した場合、(2)従業者が出願しないことに同意した場合、または(3)職務発明が営業秘密の要件を満たす場合に、免除されます(従業者発明法第13条)。

4.外国出願をしない場合の受ける権利の受け渡し

外国出願は、使用者の義務ではありませんが、外国出願をしないことを決定した場合、当該外国においての受ける権利を従業者に受け渡すことが義務付けられています(従業者発明法第14条)。

5.報告義務

使用者は、従業者に職務発明の出願の審査過程について報告し、登録後は登録票のコピーを従業者に渡すことが義務付けられています(従業者発明法第15条)。

6.受ける権利または特許権の放棄の際の権利の受け渡し

使用者は、従業者に対価を支払う前に、職務発明についての出願または特許権を放棄したい場合は、従業者に報告し、従業者の要求に応じて、権利を受け渡すことが義務付けられています(従業者発明法第16条)。

このように、法律は使用者にとってもかなり面倒な義務を課しています。このため実際は、職務発明の届出後に、従業者使用者間で、例えば3~4の義務についての使用者の義務を免除するInsentive Agreementと呼ばれる契約が結ばれるます。

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