<欧州>早期審査以外の審査期間短縮手段 その2 Early Processing


1.Early Processingとは?


PCT出願を欧州特許庁に早期移行した際、移行期限経過に先立って審査を開始させるための手段です。

2.なぜEarly Processingが必要か?

PCT出願の場合、欧州特許庁には、優先日から31ヶ月以内に移行しなければなりません(EPC規則159条)。しかし移行手続きは移行期限の31ヶ月前であってもすることは可能です。このように移行期限前に以降手続きを済ませることを早期移行とも称します。

このとき、早期移行したのだから当然審査も早期に開始されると考えるのが普通に思えますが、欧州特許庁では、移行期限が経過するまで審査を開始することが禁止されています(欧州特許庁によるEarly Processingに関する通知を参照)。

ここで、注意すべきは仮に欧州特許庁への移行と同時にPACEやPPHを申請したとしてもこの禁止が解除されないことです。この禁止は唯一Early Processingの申請によって解除することができます。

3.Early Processingの費用

Early Processingの申請自体は庁費用がかかりません。しかしEarly Processingの申請の要件として欧州特許庁への移行手続の要件を満たすこと、すなわち出願費用や調査費用等が支払われることが要件となります。

4.Early Processingの効果

・欧州特許庁にとって国際段階が終了する(欧州特許庁において方式審査が開始される)。

・分割出願をすることが可能となる。

・国際出願を取り下げても、欧州特許庁の国内段階には影響を及ぼさなくなる。

5.まとめ

上述のように早期移行した場合、Early Processingを申請しなければ審査の開始時期を早めることはできません。したがって早期権利化を意図して早期移行をしたのであれば、Early Processingも申請すべきです。

通常の欧州代理人であれば早期移行の際に、「Early Processingを申請しますか」と質問してきますが、何も言ってこない代理人もいるので注意が必要です。

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