情報提供や異議申立では、自社の名前を出願人または権利者に知られてはマズい、または出来れば知られたくないと言った事情が存在することが多々あります。
情報提供は、欧州特許庁のHPから完全に匿名ですることができます。具体的には、欧州特許庁の情報提供のサイトにアクセスし、「Select the checkbox if you wish to make an anonymous submission」のチェックボックスにチェックを入れます。これにより、自社の名前はおろか、代理人の名前さえも公になることを防止することができます。
一方、異議申立の場合は、申立人を明記する必要があるので、匿名で異議申立を行うことは出来ません。しかし、以下の2つの手段で自社の名前を伏せることが可能です。
1.代理人を異議申立人とする
異議申立は「何人」でもすることができます。したがって代理人自らの名義で異議申立をしたとしても、そのことを理由に手続きが却下されることはありません。代理人の名義で異議申立を行えば、自社の名前が公になることを防止することができます。
2.専門の会社を利用する
イギリスには、匿名で異議申立をするサービスを専門とする業者が存在します。その名もStrawman limited(日本語だと「名無しの権兵衛有限会社」)。当該会社を利用することでも、自社の名前が公開されることを防止することができます。
実際は?
実際には、信頼のある事務所に異議申立を依頼する「1.代理人を異議申立人とする」の手段が多く用いられるようです。ただ、普段から使っている代理人を申立人とした場合、仮に自社の名前を伏せたと しても特定されてしまう可能性は高いので注意が必要です。そのため、「1.代理人を異議申立人とする」の手段を用いる場合は、普段使わない代理人を経由して異議申立てをすることが多いようです。
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