英語やドイツ語の文献では、X/Yというように単語と単語との間にスラッシュ記号(/)を挿入した表現がよく見られます。この場合悩むのが単語と単語との挿入されたスラッシュ記号(/)は、orと解釈すべきなか、andと解釈すべきなかということです。
スラッシュ記号(/)の意味を調べるため英語およびドイツ語においてスラッシュ記号(/)がどのように定義されているか調べてみました。
1.英語における定義
英語におけるスラッシュ記号(/)の定義を調べるためOxford Dictionaries、Cambridge dictionaryそしてMerriam-Websterの3つの代表的な英語の辞書を参照しましたそれぞれの辞書におけるスラッシュ記号の定義は以下の通りです。
Oxford Dictionaries:
the symbol (/) used to show alternatives, as in lunch and/or dinner and 4/5 people and to write fractions, as in ¾
Merriam-Webster:
a mark / used typically to denote “or” (as in and/or), “and or” (as in straggler/deserter), or “per” (as in feet/second)
Cambridge dictionary:
used to mean “or”, or to show that something has two uses:
The room functions as a guest bedroom/study.
Oxford Dictionariesによると、スラッシュ記号(/)はalternative(二者択一から選択すべきもの)を表現、すなわち「or」を意味するとしています。このためOxford Dictionariesの定義によるとX/Yは、いずれか一方が成立すると、他方が成立しない関係であるXorYを意味し、両者が成立するXandYは含みません。
しかしながらMerriam-Websterの定義ではスラッシュ記号(/)は”and or”を含むことが明示されています。またCambridge dictionaryの”to show that something has two uses”という定義はスラッシュ記号(/)は「or」だけでなく「and」も含むことが前提となります。
実際に英語の文献を読むとスラッシュ記号(/)がorだけでなくandのニュアンスを明らかに含む場面もよく見かけます。このためOxford Dictionariesのようにスラッシュ記号(/)は「or」のみを意味し「and」は意味しない定義はどちらかというとマイナーで、Merriam-WebsterおよびCambridge dictionaryのようににスラッシュ記号(/)は「or」だけでなく「and」も意味するとする定義のほうが支配的であると言えます。
2.ドイツ語における定義
ドイツ語におけるスラッシュ記号の定義は公的ドイツ語スペル規則(Amtliche Regelung der deutschen Rechtschreibung)の第106条に以下のように明示されています。
die Angaben mehrerer (alternativer) Möglichkeiten im Sinne einer Verbindung mit und, oder, bzw., bisoder dergleichen
英訳:
the specification of several (alternative) possibilities in the sense of a connection with and, or, until or the like
つまりスラッシュ記号(/)は「or」の意味も含み、かつ「and」の意味を含むことが 明示されています。
3.まとめ
このように英語でもドイツ語でもスラッシュ記号は「or」だけでなく「and」も意味すると解釈することが一般的です。
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