講師をする際に心がけていること7点

最近はありがたいことに色々な機関で欧州・ドイツ特許実務に関する講義で講師を勤めさせて頂く機会が増えました。私が講師を務める講義では受講者の方々にとって有益な時間を提供できるように以下の7点を心がけています。
1.受講者の知識レベルに合わせる

講義の内容は難しすぎても簡単すぎても受講者にとって有益ではありません。このため講義開始前に受講者の方々が講義のテーマについてどのぐらいの知識と経験を有しているかを質問してから講義を始め、受講者の方々の知識レベルに合致した内容を提供できるように努めています。
2.基本に重点をおく

私がまだ日本で働いていた時に何度か外国代理人からの最新の判例や法改正に関する講義を受けたことがありますが、そもそも現行の法律やガイドラインなど基本的な知識がなかったためさっぱり吸収できませんでした。このため講義のテーマとしては最新の判例や法改正よりも、現行の法律やガイドラインに基づいた基本事項をテーマとして取り扱うようにしています。
3.日本の実務との差異点を意識する

なんの土台もなく未知の情報に対峙するよりも、既知の情報を土台に共通点および相違点を確認していくほうが未知の情報を効率よく吸収できます。このため日本で欧州・ドイツの実務にについて講義する際には、受講者の方々がなじみ深い日本の実務との比較に重点を置きながら講義を進めるようにしています。
4.短く・少なく

人間の集中力および記憶力には限界があります。私個人の経験では90分以上の講義の情報は頭で処理しきれず結局物になりません。この理由から出来る限りスライド資料を少なくし、講義時間を短くするようにしています。
5.質疑応答は随時

日本の通常の講義スタイルでは講義の最後に質疑応答の時間がまとめて設けられます。しかしこのスタイルですと講義の途中に疑問が発生したとしても疑問が解消されないまま講義が進むので疑問が発生した後の講義の内容が全く頭に入らなかったという事態を招いてしまいます。このため出来る限り質疑応答をしながら講義を進めるというスタイルを採用しています。
6.自らの経験・見解を述べる

単に法律、判例そしてガイドラインなど公的に入手可能な情報を事務的に説明するだけでは講義が無味乾燥になりがちです。そこで講義では法律、判例そしてガイドラインを超えた私自身の経験・見解も述べるようにしています。自らの経験・見解を織り交ぜることで講義に情熱を込めることができます。
7.実務で使えるレベルまで落とし込む

私個人的には明日からでも直ぐに実務に活用できる知識を提供できて初めて受講者の方々に有益な講義を提供できたと言えると思っています。このため講義内容を単に抽象論で終わらせず、実務で活用できるレベルまで落とし込むことを心がけています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました