UPCでの記念すべき最初の取消訴訟の当事者は日本企業です

2023年6月1日に統一特許裁判所(UPC)協定が発効し、統一特許裁判所における特許権侵害訴訟そして取消訴訟をはじめとする手続きが可能になりました。

そこで記念すべき最初の取消訴訟を調べてみました。

統一特許裁判所のCase Management System(CMS)のサーチ機能を用いて調べてみたところ現在統一特許裁判所に係属している取消訴訟は以下に示すようACT_459505/2023、ACT_464985/2023そしてACT_465342/2023の3件です。

3件とも2023年6月1日に提起されていますが、その内最も早い時刻(17:20:14 CEST)に提起されたケースがEP3056563に対する取消訴訟であるACT_464985/2023です。

EP3056563は特許権利者が日本企業(株式会社ヘリオス、理研そして大阪大学による共願)である欧州特許です。そして無効訴訟提起人はアステラス製薬の米国子会社であるアステラス再生医療研究所です。なんと原告も被告も日本に所縁があります。

また2件目のケースであるACT_465342/2023(17:51:05 CEST提出)の対象であるEP3056564も特許権者が株式会社ヘリオスそして大阪大学であり、無効訴訟提起人がアステラス再生医療研究所です。EP3056564はなんと欧州特許庁で異議が係属中です。統一特許裁判所が欧州特許庁の判断に対してどのように反応するか、または欧州特許庁が統一特許裁判所の判断に対してどのように反応するかも興味深いです。

このように統一特許裁判所における最初の取消訴訟は当事者が日本に所縁があるという点というだけでなく、統一特許裁判所と欧州特許庁との平行手続きという観点からも非常に興味深いです。

本件の今後を注視したいと思います。

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