なぜほとんど読まれないマニアックな記事を書くか

私のブログには日々アクセスされるメジャーな記事もあれば、月に1回或いは数ヵ月に1回しかアクセスされない記事もあります。

こういったアクセス数が極端に少ない記事ではたいていマニアックなトピックを扱っています(例えば「ポーランドにおける委任状には社長のサインが必要です」や「EPC規則71条(3)のクレーム仏訳でミスがあっても無償の通常実施権が発生することはありません」など)。このようなマニアックな情報はそもそも需要が少ないのでアクセス数が少なくなることは必然とも言えます。

一方でこのようなアクセス数の少ない記事はSEO的には寧ろ害があると言われています。したがって、このようなマニアックな記事は書かなかったり、削除してしまったほうがブログの運営には好ましかったりします。

しかし私がマニアックな記事を書き続けるには理由があります。

話は変わりますが私が好きな落語の噺で千両蜜柑という噺があります。夏にミカンが食べたいという若旦那のために番頭が江戸中の果実問屋を探し回るのですが、案の定「夏にミカンなんかあるわけないだろと!」あしらわれてしまいます。ところが神田多町の万屋惣兵衛という果物問屋でなんとミカンを見つけます。ぜひ購入したいですという番頭に万屋惣兵衛はミカン1つに千両という値段を要求します。千両はあまりにも高すぎると言う番頭に万屋惣兵衛は「これまで夏にミカンをお求めになるお客様をガッカリさせぬよう、大量のミカンが腐り多額の損失を被ることを承知で毎年ミカンを仕入れ夏まで保存してきました。この夏場のミカンはいうなれば我々の商人としての矜持の表れです。千両でも高いとは思いません。」と反論します。番頭は主人が当然購入を見送るものと思ってミカンを見つけたことそして値段が千両であったことを主人に報告するのですが、番頭の主人は「それぐらいの値段はするだろうね。買おう!」とあっさりと購入を決めるところが粋で面白い噺です(オチを知りたい方はWikipediaの千両蜜柑の記事をご参照下さい)。

私が月に1回或いは数ヵ月に1回しか読まれないマニアックな記事を書き続けるのもこの千両蜜柑に出てくる万屋惣兵衛に通じるものがあります。

つまり月に1回或いは数ヵ月に1回現れるであろう「こんなマニアックな情報どれだけ調べても見つからないだろうが、もしかすると長谷川のブログにだったら」という希望をもって私のブログを訪れる人をガッカリさせたくないという気持ちマニアックな記事を書いています。いわば専門家としての矜持とも言えます。SEO対策などは無視です。

実際に「こんな情報どこにも載っていないと思っていましたが、長谷川さんのブログに載っていて助かりました」というフィードバックをもらえるのは専門家冥利に尽きます。

いずれ「私のアドバイス料は千両です」と言っても「長谷川のアドバイスであればそれぐらいはするだろうね。頼もう!」と言われるようになりたいものです。

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