ドイツ・日本間の間接侵害の相違点

日本国特許法と同様にドイツ国特許法も直接侵害だけでなく間接侵害を禁止することによって特許発明の充分な保護を図っています。

しかし、ドイツ国特許法が規定する間接侵害は、日本の間接侵害と比較して以下の相違点を有しています。

1.常に主観的要件が要求される

日本ではいわゆる専用品の場合は、第三者の主観的要件は求められず、客観的な要件のみで間接侵害が成立します(日本特許法第101条第1号、第4号)。これに対してドイツでは、常に主観的要件が求められます。

具体的には、手段が発明の本質的な特徴に関係する場合(ドイツ特許法第10条(1))、当該手段が発明の使用にあてられることを第三者が知っているか、知っていることが状況から明らかであること、が求められます。

また、手段が一般的に市場で入手可能な場合(ドイツ特許法第10条(2))、第三者が手段の譲受者に意図的に侵害行為をさせていることが求められます。 (2014年10月27日 削除)

コメント:間接侵害は、主観的要件を立証できなくとも「当該手段がその発明の実施に適したものであり、かつ、そのように意図されて いること」が状況からみて明白である場合にも成立します。したがって主観的要件が常に要求されるとした当該説明は誤りですので削除させて頂きます。不正確な情報を掲載し申し訳ありませんでした。

2.禁止される行為が手段の提供あるいは提供の申出に限られること

日本の間接侵害では、譲渡以外に、生産、輸入、所持も禁止の対象となりますが(日本特許法第101条各号)、ドイツでは禁止できる行為は、提供あるいは提供の申出に限定されます(ドイツ特許法第10条(1))。したがって、生産、輸入、所持等の行為は間接侵害に基づいて禁止することはできません。

3.国内での使用予定を要件としていること

日本では、対象物が国内で用いられようと海外で用いられようと間接侵害の成立には関係ありません。しかしドイツでは、対象物が「ドイツ国内における発明の使用のため」に用いられることが要件とされています(ドイツ特許法第10条(1))。したがって、対象物を国外で用いることを前提としている場合には間接侵害は成立しません。

ここで、この「ドイツ国内における発明の使用のため」という要件は、あたかもいわゆる従属説を前提とするようにも思われますが、ドイツでは従属説が否定され独立説が採用されています。この「ドイツ国内における発明の使用のため」という要件は、実施がドイツ国内で行われる「予定」があることを要件とするものであって、実際に実施が行われたことを定めるものではありません。

例えば、対称物の譲受人がドイツ国外にのみ生産手段を有する場合、「ドイツ国内における発明の使用のため」という要件が満たされないと判断されます。

 

参考図書:Schulte

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