うっかりドイツ国内移行の期限を徒過してしまった場合の措置

PCT出願のドイツ国内移行の期限は優先日から30ヶ月です。この移行期限をうっかり徒過してしまったけれどもやっぱりドイツでの権利が欲しいという場合には以下の手段が考えられます。

1.欧州特許庁への移行

欧州特許庁への移行期限は優先日から31ヶ月です(EPC規則159条(1))。したがって優先日から30ヶ月のドイツの国内移行期限を過ぎてしまった場合であっても、優先日から31ヶ月以内であれば通常の手続きに従い欧州特許庁にPCT出願を移行させることができます。

そして欧州特許庁で権利化をし、ドイツで権利を有効化すればドイツ国内での権利が得られます。

2.欧州特許庁への移行+Further Processing

欧州特許庁への移行期限の31ヶ月を徒過してしまった場合であっても手続きの続行(Further Processing)の期間内であれば所定の費用の納付を条件に欧州特許庁に移行することができます。

Further Processingの申請が可能な期間は「権利喪失の通知(Loss of rights)」の通知から2ヶ月です(EPC規則135条(1)。また権利喪失の通知は移行期限の徒過から通常1~2ヶ月後に送付されます。

そして欧州特許庁で権利化をし、ドイツで権利を有効化すればドイツ国内での権利が得られます。

3.その他

出願人の責めに帰することが出来ない理由が存在する場合は、権利の回復制度を利用することでドイツに移行することも可能です(ドイツ特許法123条)。

一方で、ドイツ国内法が規定するFurther Processingは(ドイツ特許法123a条)、欧州特許庁のFurther Processingと異なり移行期限の徒過を対象としていないので利用することはできません。

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