クレームの特定方法として、「XXするための装置」や「YYするための方法」といった、物や方法の用途を限定する方法(用途限定)があります。
このような用途限定は、欧州特許庁ではどのように解釈されるのでしょうか。
物クレームにおける用途限定と、方法クレームにおける用途限定とに分けて説明します。
1.物クレーム
用途限定された物クレームは、当該用途に限定された物として解釈はされず、当該用途に適した物として解釈されます。すなわち物クレームにおける用途限定は、用途の一例として解釈されます。
例:
「溶鉄を保持するための型」は、溶鉄を保持するために適した耐性や融点を有する型として解釈されます。したがって融点の低いプラスチックで出来た氷を形成するための型は、「溶鉄を保持するための型」には含まれません。一方で、例えば、溶鉄でなく、溶けた貴金属を保持するための型が先行技術に開示されており、当該型が、溶鉄を保持するために適した耐性や融点を有する場合は、「溶鉄を保持するための型」の新規性は認められない恐れが高いです。
2.方法クレーム
方法クレームにおける用途限定は、方法におけるステップの1つとして解釈されます。
例:
「亜鉛メッキを溶解する方法」は、亜鉛メッキを溶解するステップを含む方法として解釈されます。
3.用途限定の注意点
特に物クレームにおいて用途限定は、EPOによって不明確と判断される恐れが高いので、なるべく避けることをお勧めします。また、どうしても用途でしか先行技術との差異を表せない場合は、物クレームをUSEクレームに変更することも1つの案として考えられます。
<参考文献:欧州審査基準>
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