欧州調査についてのPACE申請は無意味です

PACEとは日本でもよく知られた欧州特許庁における手続促進手段です(PACEって何という方は過去の記事「EPOにおける早期審査(PACE)について」をご参照ください)。

2016年1月からPACEは調査と審査とについてそれぞれ一回づつ申請できることが明確になりました(OJ EPO 2015, A93)。このため出願時または移行時など欧州調査が開始される前に調査についてPACE申請をすれば欧州調査が促進されると考えることもできます。

しかし2014年7月1日以降の出願については、欧州調査は自動的に促進されます。このためこれらの出願について調査のPACEを申請しても何ら促進効果はありません(一方で審査のPACE申請は依然として促進効果があります)。

「でも欧州調査のPACEを申請しておけばその後の審査も自動的に促進されるんじゃないの?」と思われる方もいるかと思います。

しかし調査のPACE申請はその後の審査の速度には何ら影響を及ぼしません(OJ EPO 2015, A93)。このため審査を促進させたい場合は仮に調査のPACE申請を済ませたとしても別途審査のPACEを申請する必要があります。

出願時または移行時にPACE申請を代理人に指示した場合、親切な代理人であればちゃんと意味のある審査のPACEを申請してくれますが、代理人によっては意味のない調査のPACEを申請してしまうことがあります。このため出願時または移行時にPACE申請を指示する場合は「審査のPACE」であることを明記することをお勧めします。

参考資料:ガイドラインE-VIII, 4.1

For European patent applications filed on or after 1 July 2014 (including PCT applications entering the European phase where the EPO did not act as (S)ISA) the EPO strives to issue the extended/partial European search report within six months from the filing date or from expiry of the period under Rule 161(2). Hence, no PACE request is needed.

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