欧州特許庁において審査の促進を図るための手段として特許審査ハイウェイ(PPH)申請があります。欧州特許庁におけるPPHが具体的にどの程度の効果があるのかを知るため、欧州特許庁におけるPPHの各種データについて調べてみました。
・一発査定の確率:7%
特許性を否定しないファーストオフィスアクションが出る確率を意味します。日本でPPH申請をした場合の一発査定率が28%であることを考慮すると、欧州特許庁の7%はかなり低い数値であると言えます。
・新規文献が引用される確率:65%
つまり仮に日本特許庁がX文献、Y文献を発見しなかった場合でも、欧州特許庁は独自の調査によって6割以上の確率で、新たなX文献またはYを引用してくる ことを意味します。これは欧州特許庁はPPH案件であっても通常の調査を行うことを意味します。なお、PPHを申請しなかった場合(つまり通常のEuro-PCT出願)における当該確立は74%です。
・ファーストオフィスアクションまでの平均日数:156日
日本の約70日(2.3ヶ月)と比較して倍以上の日数を要しているようです。また、PPHとは別の審査促進手段であるPACE申請をした場合は当該日数は、188日です。
こ のように日本特許庁におけるPPHと比較した場合、欧州特許庁におけるPPHではファーストオフィスアクションまでの日数は倍以上で、しかも一発査定率は 日本の1/4です。したがいまして、日本のPPHと同様の効果が得られることを期待して欧州特許庁でPPH申請した場合は、大いに失望することになります。
参考サイト:
http://www.wipo.int/meetings/en/doc_details.jsp?doc_id=197677
http://www.jpo.go.jp/ppph-portal/statistics.htm
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