欧州特許庁では明細書、クレーム、図面、要約および書誌的事項(書誌的事項に関しては複数ページに及んでも1ページとしてカウントされます)のページ数の合計が35ページを超える場合は、35ページを超えるページごとに15ユーロ(2014年8月現在)のページ費用(Page Fee)を支払わなければなりません。
PCT経由の欧州特許出願(Euro-PCT出願)の場合、このページ費用は、国際公開公報のページ数を用いて計算されます。すなわち日本語でPCT出願がなされた場合は、日本語の国際公開公報のページ数を用いてページ費用が計算されます
例えば、日本語の国際公開公報の構成が、
明細書25:ページ
クレーム5:ページ
図面:3ページ
要約:1ページ
書誌的事項:1ページ
であった場合、ページ数は35ページとしてカウントされ、追加のページ費用は発生しません。
この場合、ややこしいのが移行と同時に補正をした場合です。以下移行時にクレームを補正した場合と、明細書を補正した場合とに分けて説明します。ちなみに移行後の補正は、ページ費用に影響を及ぼしません。
1.クレームを補正した場合
この場合、日本語の国際公開公報のクレームの代わりに補正後の英文クレームで、ページが計算されます。例えば上記例で、補正後の英文クレームのページ数が6ページである場合、以下のようにページ数は36ページとしてカウントされ、追加のページ費用15ユーロが発生します。
明細書25:ページ
補正後の英文クレーム:6ページ
図面:3ページ
要約:1ページ
書誌的事項:1ページ
計:36ページ
2.明細書を補正した場合
ガイドラインA-III, 13.2によると、この場合、明細書のページ数は以下の式によって計算されます。
明細書ページ数=公開された明細書のページ数+補正された明細書のページ数-補正された明細書によって置換された明細書のページ数
しかし国際公開言語が日本語であり、補正後の明細書の言語が英語である場合については、補正された英文ページと置換された日本語ページとを対応させることができないため、上記計算でページ数を求めることはできません。このため実務上は、明細書の補正をした場合、明細書のページ数は補正後の英文明細書のページ数に基づいて計算されます。例えば上記例で、補正後の英文明細書のページ数が30ページである場合、以下のようにページ数は40ページとしてカウントされ、追加のページ費用75ユーロ(15ユーロ×5ページ)が発生します。
補正後の英文明細書:30ページ
クレーム5:ページ
図面:3ページ
要約:1ページ
書誌的事項:1ページ
計:40ページ
3.まとめ
一般的に日本語の書面のほうが当該日本語書面の英文翻訳よりもページ数が少なくなります。このため、Euro-PCT出願のページ費用を抑えたい場合は、少なくとも明細書の補正については欧州特許庁への移行時にしないことをお勧めします。
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