○○部を○○portionと訳すと誤解を招くことがあります

日本語の明細書では○○部という表現はよく用いられます。この「○○部」の英訳として日本ではよく「○○portion」という表現が用いられますが、この表現が適切でない場合がよくあります。

例えば以下の図1に示された構造を説明するために日本語の明細書の壁部という表現があるとします。この場合、壁部は青色で示された壁を構成する部材全体を指していると解釈してもしっくりきます。ですので例えば「壁部は底板に溶接された一枚の金属板である」と記載しても日本語的にはなんら違和感はありません。

wallJP
図1

しかし壁部を「wall portion」と訳してしまうとどう理解されるでしょう。

Merriam-Webstarによるとportionとは「a part of a larger amount, area, etc」です。したがって「wall portion」という文言は以下の図2に示すように壁を構成する部材の一部(青色で示された領域)を意味すると解釈するのが自然になります。

wallEP
図2

したがって「a wall portion is a single metal plate welded to the bottom plate(壁部は底板に溶接された一枚の金属板であり)」なんていう表現は、欧米の審査官および代理人によっては技術的に違和感がアリアリで「壁の一部が溶接された一枚の金属板???溶接された金属板以外に壁を構成するものがあるってこと???」と不要な混乱を招くことがあります。

このように「部」がある構成または部材の全体を指している場合は「portion」という訳は適切ではありません。

本例では壁部は「wall」または「wall member」と訳すのがより適切かと思います。

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