発明を公開したいけどバレたくないという場合はどうしたらよいか?

純粋方法や原料の配合に関する発明は、特許を取得したとしても侵害を立証するハードルが高いのでノウハウとして秘匿化されることが多いです。

しかし発明をノウハウとして秘匿化した場合の最悪のシナリオとして他者に当該発明に関する特許を取得されてしまい、その特許に基づく権利行使により自社の実施が制限されてしまうということがあります。

「そしたら先使用権を主張したらよいじゃない」と思われるかもしれませんが、事後的な改良により発明の同一性が損なわれたり、事業を拡大した場合などは必ずしも先使用権が認められるわけではありません。つまり先使用権は万能ではありません。

このため発明をノウハウとして秘匿化する場合であっても、他社が特許を取得してしまったときにその特許を無効にできるようその発明を開示しておきたいという要望があります。

つまりいざというときのために他者の特許をつぶせるような証拠として残る形で公開したい、けどバレたくないという矛盾した要望です。

「そんな都合のよいことが出来るはずがないだろ」と思われるかもしれませんが、手段がないわけではありません。

例えば特許情報に関してマイナーな国に出願し公開させておくという手段です。マイナーな国の出願データは各種データベースにカバーされていないことが多いので、そもそも出願情報にアクセスするためのハードルが高いです。また言語の壁もあることが多いため仮にアクセスできたとしても内容を把握することが困難です。

一方でマイナーな国であっても出願すれば公開日および公開内容の立証が極めて容易な出願公開という証拠が得られます。他者の特許を無効化する証拠としては十分です。

欧州でこのような条件を満たす国の例として、アルバニア(AL)および北マケドニア(MK)が挙げられます。

アルバニアおよび北マケドニアの出願データは2019年12月12日現在でEspacenetにもカバーされていません(https://www.epo.org/searching-for-patents/data/coverage/weekly.html)。このため出願内容が公開されたとしても発見が極めて困難です。また仮に発見されたとしてもアルバニア語およびマケドニア語で書かれた出願内容を理解するのは至難の業です。

このように例えばアルバニアおよび北マケドニアのような特許情報に関しててマイナーな国に出願すれば発明を公開したいけどバレたくないという矛盾する要望を満たすことができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました